能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

カテゴリ:能楽日記( 102 )

御礼

今日は初陽会当日でした。

本日ご来場いただきました皆様、本当に有難うございました。少し時間がおしてしまいまして申し訳ありませんでしたが、おかげさまで天気にも恵まれ、何とか無事に会を終えることが出来ました。

さて『巴』ですが、本日ご出演いただいたお素人の皆様方の一生懸命な姿にも刺激を受けたせいか、自分としては想像以上に集中して舞台に臨むことができたように思います。これで御覧頂いたお客様に楽しんでいただけていたら良いのですが・・・

自分はまだまだ発展途上の舞台人です。そして一生、発展途上の舞台人でいたいとも思います。

今後ともどうぞ応援宜しくお願い致します。もしこのブログやミクシィ上に、ご感想・ご意見等いただけましたら嬉しいです。
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by munenorin | 2008-10-19 01:59 | 能楽日記

「巴」の面

今日は今度の初陽会の『巴』で使用する装束や面を、父と相談しながら決めました。

先日の謡サロンの折にお客様から、「巴ではどんな面を使用するのですか?」というご質問を受けたのですが、その時は実はまだはっきりとは決めていませんでした。というのも『巴』の場合には幾つか選択肢があるからなのです。前シテと後シテを同じ面にするか違う面にするかどうか、また同じ面の場合でも、どんな面を使うか、ということに若干の選択肢があります。
今日は伯父の家で面を数面、目の前にして、10分ほどあれこれ迷ったり、想像をめぐらせたりしながら決めました。それが吉と出るか凶と出るかはまだ分かりませんが、面に全てを託して、自分の舞台をしっかり創り上げて行きたいと思います。

能楽師にとって、装束ももちろんですが、特に面は自分達の命と同じくらい大切に扱う物です。面をどう選ぶか、舞台上でどう生かすかということが、最終的に能楽師としてもっとも大切な感性の一つになってきます。まだ自分はその緒についたばかりですが、自身の内面や魂を面の中にしっかりと押し込められるよう、集中して舞台に臨んで行きたいです。
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by munenorin | 2008-10-13 23:00 | 能楽日記

筋トレ

相変わらずほぼ毎日、何とか続いています。

腹筋・腕立て伏せ・スクワット・ダンベル等が中心ですが、当初始めたときより徐々に時間も長くなり、今では各種目1.5倍程の回数をこなせるようになってきました。といっても、ようやく高校時代の筋トレの3分の2くらいですが026.gif

いざやる前は日常生活の疲れもありますし、必ずしも気乗りがしない日もあるのですが、とにかく何でも良いので始めてしまいます。始め出すと少しだけ元気になります。
そして全ての種目を終えた時にはさすがに息が上がっていて、何をするにも億劫になるのですが、15分くらい休憩すると、筋トレを始める前よりずっと元気になっています。特に少し眠いな、と思う時などこれでいっぺんに目が覚めます。

筋トレと言っても、結局は運動と同じなんですよね。だから元気になれるのかな、と思います。

今月は結局すべて舞台と稽古で埋まり、休みの日が一日もなくなってしまったので、トレーニングを続けながら、体力をしっかりつけていきたいです066.gif
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by munenorin | 2008-10-04 22:31 | 能楽日記

早寝早起き

昨日は国立研鑽会の申し合わせから帰宅したのが21時少し前くらい。家に着くまではまったく平気だったのですが、帰宅後にメールを打っていたら強烈な睡魔が襲ってきて、そのままダウン。早く寝たのは良かったのですが、結局3時前には目が覚めてしまいました。

以前はこういった時には再度強引に寝るようにしていたのですが、最近は「せっかく起きたのだから」と、少しは冴えた頭でちくちく仕事をするようにしています。朝(というか深夜)は静かなので本当に仕事がはかどります。

先ほど少し休憩を。

5時からNHK教育で放送の『漢詩紀行』を見ていました。平日の朝早くに放送される、知る人ぞ知る、古より続く5分ほどの番組です。
今日の漢詩は孟郊の詠んだ「登科後」。科挙の試験に受かった喜びを表した詩です。印象的な一節は、「一日看尽長安花」。一日で長安の花の名所を全て見尽くしてしまった、という意味です。
当時は科挙の合格発表の当日、試験に合格した受験生は、長安の街中にある全ての花の名所(私邸を含む)にフリーパスで立ち寄ることが出来たようです。なんとも粋な計らいですね。
全身から喜びが伝わってくるような詩でした。

朝に素敵な詩で一日の元気をもらって、今日も長い一日を乗り切っていきたいと思います!
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by munenorin | 2008-10-03 05:55 | 能楽日記
今日は第三回目くらいの(?)ホームページ打ち合わせでした。

ページ上に掲載する全ての写真などを渡し、細かい文章や情報提示の仕方などを1時間半くらい打ち合わせました。
これで第二稿が出来上がって、最終打ち合わせが済むと、いよいよ開設となります。ただ、PCからだけでなく、携帯からも閲覧できるように携帯用のホームページも同時進行で作成中なので、もしかしたら開設は11月上旬くらいまでずれ込むかもしれません。なんだか延び延びになっているのが心苦しいのですが007.gif

今年はブログにホームページ、そして謡サロンなど、いろいろなことを始める年になりました。これからはしっかり頭を使って、それらのコンテンツをさらに進化させて、より皆さんに楽しんで頂けるような物にしていきたいと思います。
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by munenorin | 2008-09-30 01:57 | 能楽日記

武田修能館歌仙会

昨日はそっけない記事でスミマセン。

昨日お知らせしたとおり、今日は中野坂上にある伯父の家の稽古舞台『武田修能館』で歌仙会でした。

さて、では歌仙会とは何なのか・・・。

平安中期、藤原公任が選んだと伝えられる、36人の優れた歌人達がいました。その歌人達は通称『三十六歌仙』と言われるのですが、それに因んで、能の演目36番を一日で謡い切ってしまおうという催しなのです。
私の主宰する「謡サロン」にお越しの方はご存知だと思いますが、能楽には総合ミュージカル演劇としての能という上演スタイルだけではなく、謡という台詞・歌だけで物語を伝える「素謡(すうたい)」という形式があります。その素謡の形式で、全く省略等することなく36曲上演するのです。

しかし能を少しご存知の方ならお分かりになると思いますが、謡だけとは言ってもまともに上演するとかなりの時間が掛かります。曲によっても長さやスピードがかなり違いますが、平均すると30~40分くらいでしょうか?となると普通に上演したら20時間くらい掛かってしまうことになるかもしれません。それはいくらなんでも無理がありますよね。

ではどうするか、というと・・・ものすごく速いスピードで謡うのです。

通常、謡というものには『位(くらい)』と呼ばれる、スピードや謡い方の基準が曲ごとにあり、それが延いては全ての芸の指針となっているのですが、この『歌仙会』だけはそれをあまり考えずに、スラスラと謡って良いことになっているのです。ただし条件として、しっかり力を入れた声で謡わなくてはならず、節付けなどのメロディーの上げ下げ等は正確に行わなければならないということになっています。
今日は同門の松木千俊氏のお素人のお弟子さん方をはじめ、プロの能楽師6人と40人近いお素人のお弟子さん方とで一緒に会を盛り上げて行きました。

この歌仙会自体は、以前は我々武田同門内でも何度か行われていたようなのですが、少なくとも20年以上行われずにいたのを、今回松木氏のご提案で復活させることになりました。というわけで私は人生初の体験でした。

プロの能楽師が6人。それを各曲概ね3人ずつで謡う為、普通に出ていればおよそ18曲です。結局自分は半分を少し超えて22曲出演しました(地謡は自由参加制なので、自主性によって出演数が違います)。お素人ではお一人が36曲皆勤、もうお一人35曲出演というツワモノもいらっしゃいました。ただプロとアマチュアの皆さんとの決定的な違いは、アマチュアの皆さんは謡本を見て謡う事ができる、我々は全て覚えて舞台に出なければならないということです。まぁ当たり前のことではありますが。
正直なところただ覚えて普通に謡うだけなら、今までの蓄積もありますし、全曲でも乗り切ることはそれほど難しいことではないと思います(ただし長時間の正座による足の痛みを別にすれば、ですが)。
しかし「ものすごく速く謡う」ということが思いのほか大変なのです。まず思い出したり、考えたりしている暇もないので、完全に覚えていたつもりでもふと謡が出なくなることがあります。また普段謡い慣れている曲のスピードから違うスピードにすると、違う曲が口をついて出てきたり、ひどい時にはろれつが廻らなくなったりするのです。これには本当に焦りました008.gif

それでも何とか無事に乗り切り、結局朝9時から始めてノンストップで18時ちょうどまで。総計9時間、一曲平均15分ですから、通常の2倍以上の速度で謡っていたことになります。その後の宴席でも話が出たのですが、これは一般的に見てもかなり速いスピードだったようです。

このお話で分かるように、この「歌仙会」というものは、どちらかといえば人にお見せするための催しというよりは、謡に携わる人達の究極の研鑽方法として考え出された手法なのだと思います。
この間お知り合いになった方から、「芸術にプロもアマチュアもない」ということを仰って頂き、とても印象に残っています。私も全くその通りだと思います。だから今日もプロ・アマチュアに関わらず、「謡を愛する人たち」が精一杯謡を謡い、充実のひと時を過ごしたのです。

現在は謡曲を習われている方が極端に少なくなってきてしまっているのですが、ぜひお一人でも多くの方に実際に声に出して頂き、謡の魅力を楽しんで感じて頂けたら、と心から願っています。そしていつの日か、私のお弟子さん達と素敵な『歌仙会』を開催してみたいと思っています001.gif
これからも皆さんに謡や能の素晴らしさを伝えるために、精一杯頑張ってまいります!
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by munenorin | 2008-09-29 00:26 | 能楽日記

がんばれっ!

今日は午前中が東京観世会の申し合わせ。午後から一つ話し合いをして、引き続いて父の稽古日でした。

父のお素人の稽古は伯父の稽古舞台である『武田修能館』でするのですが、今日はその稽古の最中に従兄弟の友志が姿を見せました。何でも、もし稽古に空き時間が出来たら、章志の初舞台の稽古に舞台を使いたいとの事。幸いうまく空き時間が出来たので、18時半頃から章志の稽古をすることが出来ました。

師匠はもちろん父である友志。私と父はギャラリーです。

本当に全ての動作が愛らしくて、ギャラリーとしては思わず出てしまう笑みをこらえるのに必死だったのですが、稽古は無事終了。一番感心したのは、稽古前と後に、師匠の友志に「よろしくおねがいしまっす!」「ありがとうございましたっ!」と大きな声でしっかり挨拶できるようになっていたこと。これがまずは大前提の基本ですから、これが出来た時点でまずは合格といっても良いくらいなのです。

まだ3歳4ヶ月。稽古の最中に心の中で「がんばれっ!」とエールを送っている自分がいました。花影会で地謡を謡うのが本当に楽しみです004.gif
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by munenorin | 2008-09-26 00:00 | 能楽日記
形になってきたというのはマイ・ホームページのことです。

昨日の晩に第一案が友人から送られてきました。大変シンプルではありますが、色々な情報がとても見易く作られていて、なかなかのデザインになりそうです。来週中に細かい部分を詰めて、早ければ10月上旬にも開設出来そうです。

最初は工事中のところなどもあってお見苦しい部分もあると思いますが、徐々に皆さんに親しんでいただけるページにしていきたいと思っています。

実は従兄弟の文志も現在ホームページを作成中で、近日開設予定です。今日はそのページ上にアップする装束写真の撮影の手伝いに行ってきました。お互い開設したらリンクを張る予定ですので、ぜひ並べて御覧いただけたら、と思います。

ホームページが完成してもブログは続けて行きたいと思っていますので、こちらも今後とも応援宜しくお願いします006.gif
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by munenorin | 2008-09-24 23:46 | 能楽日記

昨日の謡サロン他

昨日は東京謡サロンでした。

事前にお知らせしたとおり、曲目は『邯鄲』。自分もとても大好きな曲です。

いつも大体1曲につき4箇所ほど聞いていただくのですが、今回は4つ目の最後の部分は、およそ12分ほどの長さで、今まででも一番長丁場の謡でした。
本当は前後に分けて聞いていただくことも考えたのですが、続いて聞いていただくほうが面白さが伝わるのではないかと思って、ぶっ続けで謡うことにしました。
今回もお客様は少なめだったのですが、いらしていただいたお客様が満足して帰られる姿を見て、本当にやることが出来てよかったなと思いました。

昨日、とある友人から「謡サロンはやっぱり敷居が高い」という言葉がありました(参加してくださった方ではなく)。どちらかといえば「敷居が高い」と思われている能楽の敷居を下げるために、このような催しを始めようと思い立っただけに、とても残念な気がしました。というか自分自身の無力を情けなく感じてしまいました。
このサロンにいらして下さった方はほぼ皆さん、「能ってこんなに楽しいものだったんだ」というようなことを仰って下さいます。きっと一度でも実際に参加してくれたら「敷居が高い」と感じることはないとは思うのですが、やはり東京ではまだまだ浸透に時間が掛かりそうです。
ただ考えてみれば大阪も最初は2回で8人の参加者だったのが、1年で倍の参加人数になりました。また来年からは和歌山県橋本市の「ゆの里」でも定期講座開設の予定です。
東京でも決して諦めることなくとにかく続けていくしかない、と今心を新たにしています。絶対に腐ってはいけませんね006.gif

昨日は少し疲れが出たのか夜に体調がいまひとつになってしまったので、更新をサボって早く寝てしまいました008.gif今日もほとんど身体を休めていましたが、だいぶ快復したので先ほどは筋トレをしていました。

ここで宣言したことが、続けることの大変強い原動力になっています004.gif
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by munenorin | 2008-09-15 22:36 | 能楽日記

能楽の未来へ

今日は伯父の名古屋のお素人のお弟子さんの発表会「鳳鳴会」でした。日帰りだったので、先ほど帰宅したところです。

名古屋のお弟子さん方はお素人とは言っても、皆さん芸歴20年は優に越えたベテランばかり。中でも一番長い方では50年以上という方もいらっしゃいます。一つの趣味で50年以上続けることが出来るものというのは、通常あまり考えられないですよね?それだけ能というものが奥深く、老若男女問わず楽しめるものだという証だと思うのですが、一方で裏を返せば、新規で始められる方がなかなかいらっしゃらないということでもあります。
この数年ほどはどこの発表会にうかがってもこういった話が出るのですが、今日は特に伯父自身が「このままの状態が続いて能楽が滅びるようなことになってしまったら大変だ」という主旨のことを話していました。この話はまったく大袈裟な話ではありません。私も同様の、というかある意味では伯父以上に切実な危機感を抱いています。観阿弥世阿弥以来650年近く続いている能楽を、私達の代で滅びさせることがあっては、能楽をここまで続けて下さったご先祖の方々に申し訳が立ちません。

確かに能楽は、1回御覧いただいただけで衝撃的に楽しいとか面白いとか、そういった類の芸能ではありません(いくつかそういった曲もありますが)。しかし観れば観るほど、その奥深さや味わいが心に染み透っていく芸能だと思っています。ちょうど噛めば噛むほど味が出るスルメのような感じです。その味わいが、実際に謡や舞をお稽古されると2倍にも3倍にも増すのです。ぜひ一度体験していただきたい、と心から思っています。
古くは豊臣秀吉をはじめとした諸大名も、実際に謡や舞の稽古をしていたようです。そして生涯、その面白さに虜になったのです。
少し極端な言い方ですが、能楽の本当の面白さを体感するのには、文字通り実際に声を出して謡を謡い、身体を動かして舞を舞うのが一番の近道なのかもしれません。「能楽」という芸能には、例えば曲趣がどうとか、演じるのが巧いとか下手とかいうことに関わらず、その芸能自体にとても力があるのです。それが現在まで続いてきた能の普遍性なのだと思います。

皆さん、機会があったらぜひ一度お稽古を体験してみてください。手前味噌ですが、「謡サロン」はとても親しみやすい、良い入り口だと思いますよ001.gif
明日は15時から東京謡サロンです。駆け込みのお申し付けも承りますので、よろしければぜひご連絡ください。004.gif

b0145146_1245911.jpgちょっと堅い話ばかりになってしまったので、最後に愛すべき章志の写真です。今日の鳳鳴会に来ていました。「可愛い顔をして」と頼まれた時の顔なのですが、何度もいろいろな人に頼まれて頬の筋肉が硬直してしまい、結局ちょっと変な顔になってしまいました037.gif
彼は11月の花影会で初舞台を迎えます。彼のためにも、能楽界の未来を明るくして行きたいものです!
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by munenorin | 2008-09-14 01:32 | 能楽日記