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能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

「巴」の面

今日は今度の初陽会の『巴』で使用する装束や面を、父と相談しながら決めました。

先日の謡サロンの折にお客様から、「巴ではどんな面を使用するのですか?」というご質問を受けたのですが、その時は実はまだはっきりとは決めていませんでした。というのも『巴』の場合には幾つか選択肢があるからなのです。前シテと後シテを同じ面にするか違う面にするかどうか、また同じ面の場合でも、どんな面を使うか、ということに若干の選択肢があります。
今日は伯父の家で面を数面、目の前にして、10分ほどあれこれ迷ったり、想像をめぐらせたりしながら決めました。それが吉と出るか凶と出るかはまだ分かりませんが、面に全てを託して、自分の舞台をしっかり創り上げて行きたいと思います。

能楽師にとって、装束ももちろんですが、特に面は自分達の命と同じくらい大切に扱う物です。面をどう選ぶか、舞台上でどう生かすかということが、最終的に能楽師としてもっとも大切な感性の一つになってきます。まだ自分はその緒についたばかりですが、自身の内面や魂を面の中にしっかりと押し込められるよう、集中して舞台に臨んで行きたいです。
by munenorin | 2008-10-13 23:00 | 能楽日記