能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

研究会「誓願寺」

今日は松涛の観世能楽堂で研究会でした。

昨日お知らせしたとおり、今日は「誓願寺」の地謡です。結局1時間47分の舞台でした。

「誓願寺」はそうめったに舞台に掛からない曲で、主人公は和泉式部の霊ということにはなっていますが、”南無阿弥陀仏”を説くことをテーマにした仏教礼賛の曲であり、現在に生きる私たちにすべての意味を理解するのはなかなか至難の業といえます。
このように意味が宗教的であったり、詩的であったりと、なかなかストーリーを理解しにくい曲というのは能の中では数多くあります。

そのような時、どのように観たら楽しめるのか?

能楽観劇初心者から一歩ステップアップされたとき、このような疑問に直面されることは必ずあると思います。

ここでポイントになるのは『記号』です。

能には、まず能装束・能面などの表面的な姿形から、舞う舞の種類やお囃子の種類に至る内面的なものに至るまで、実はすべてはある意味で記号化されているのです。

例えば「誓願寺」の場合、能の中では『三番目物(鬘物)』というジャンルに分けられ、舞衣という特殊な装束を付け、太鼓が登場します。このような時、誓願寺という曲には”女性を主人公にした静かなストーリーで、主人公には気品とある程度の華やかさが必要である”という一定の答えが導き出されます。そしてこのことを知っていると、だんだんと役者の”意図”が感じられるようになり、ストーリーに関係なく、格段に深く楽しく御覧戴くことが出来るのです。
こういったことは本来は徐々に舞台をご覧になることで感じ取っていただくより他にないのですが、こういった部分をフォローしたいという思いから立ち上げたのが、実は
『謡サロン』なのです。

『謡サロン』では、まず初期の段階で、初番目物から五番目物までの全ジャンルの曲の最も重要なエッセンスを聞いていただき、実際に声を出していただきます。またお客様からの自由な質問形式を採っておりますので、疑問に思われる点にはそのつどお答えしています。「謡サロン」にいらしていただくことで、今まで以上に能を興味深く、楽しく御覧いただきたいと強く願っています。

能は知れば知るほど面白い芸能であるといわれます。だからこそ、アマチュアとして戦前から60年以上もお稽古を続けられている方が現在もいらっしゃるのだと思います。この伝統を絶やさないためにも、自分たちが今頑張っていかなければと思っています。

なんだか結局宣伝のようになってしまいましたが、もしよろしければ謡サロン、ぜひお越しください。また今度の7月5日(土)にお越しになれない方も、今後継続的に続けていく予定にしておりますので、ぜひ一度お越しください。

では明日は藤村女子高校の学生能『土蜘蛛』です。おやすみなさい。
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by munenorin | 2008-06-19 01:44 | 能楽日記