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能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

横浜「小鍛冶 黒頭」

少し遅くなってしまいましたが・・・先日、横浜能楽堂主催「親子能楽ワンダーランド」にお越し下さった皆様、本当に有難うございました。おかげさまで何とか無事に「小鍛冶 黒頭」の大役を勤めさせて頂くことが出来ました。当日は客席約470席のほとんどが埋まる盛況振りでした。ご遠方からいらしてくださった皆様、ツアーを組んで来て下さった皆様、ご来場いただいた全てのお客様に感謝の気持ちでいっぱいです。大勢の皆様の前でシテを勤めることが出来て幸せでした。

当日は1部がお子さん体験講座、2部がワークショップ・狂言「柿山伏」・能「小鍛冶 黒頭」でした。1部の体験をされたお子さんが2部にもほとんど残って下さっていて、視界の狭い面の中から、お子さん達の姿が客席のあちこちに見える図はとても新鮮でした。「小鍛冶」に関しては、朝に一生懸命取り組んだ体験講座の疲れか、前半部は少し眠そうなお子さんがいらっしゃいましたが、後半部になるとほとんどのお子さんが起きていたようです(ハッキリ見えたわけではなく空気感です)。特に台に飛び乗るシーンでびっくりして眼を白黒させていたお子さんがいらっしゃったのは、とても素直な反応で面白かったですし、何だか「やった甲斐があったなぁ」と感慨深かったです。また騒いだり、泣いたりするお子さんが一人もいなかったのには驚きでした。

能楽の舞台は、単に演じ手の側がお客様に良いものを提示するだけでなく、それを受け取られたお客様が一つの空気を作られて、舞台と客席が一体になった時、得難い素晴らしいものになるように思います。その意味で先日の横浜の舞台は、お子さん達が独特の空気感を作っていて、それが周りのオトナのお客様にも良い空気として影響していたように思いました。もちろん自分としては様々な部分で課題が残る部分もあるのですが、そういった意味ではとても満足の行く舞台になりました。

次はいつこのような機会があるかわかりませんが、小さい頃から慣れ親しんだ横浜の地で、またいつかシテを勤めることが出来たら良いなぁと心から思います。8月中頃までは、身体のケアにも重点を置きながら少し充電して、また今月後半からしっかりネジをまいて参ります!
by munenorin | 2011-08-04 00:33 | 能楽日記