イタリア公演~ミラノ前編~
2009年 10月 09日
大変大変遅くなりましたが、そろそろ忘れないうちに先月のイタリア公演についての記事を書きます。
今回周った都市はミラノとトリノ。まずは旅の前半であるミラノ編をお伝えしたいと思います。
まずその前に今回の公演について簡単にご説明します。
今回の歌舞伎と能のお囃子の団体である『三響会』さんからご依頼を受けて伺うことになったものです。『三響会』さんは能楽大鼓方の亀井広忠さん、歌舞伎のお囃子の田中傳左衛門さん、田中傳次郎さんの三兄弟が立ち上げている団体で、今回は三男の田中傳次郎さんが舞台監督・プロデューサーとなり企画が実現しました。傳次郎さんは私と同い年で小さい頃から交流があり、そのご縁もあってお声掛けいただいたものです。二人の兄上はお見えになりませんでしたが、お父様の能楽大鼓方の人間国宝・亀井忠雄先生がトリノ公演からお見えになりました。
演目は2パターンあり、メイン公演では舞囃子と狂言『柿山伏』と半能『野宮』が行われ、劇場を変えたコンサート形式の公演では、一調『勧進帳』と素囃子『獅子』と舞囃子が上演されました。
シテ方は、私の他には従兄の友志・文志と坂口貴信さんという極少数メンバーでした。しかも従兄二人はミラノ公演のみ、坂口さんはトリノ公演とミラノコンサートのみで、ほぼフル参加するのは私だけだったので、公演演目のほとんどの役をさせて頂くことになりました。
出発は先月17日朝。そこまでの一週間は特に仕事が目白押しで究極の睡眠不足・時差ボケ生活だったので、逆に行きの飛行機で程よくしっかりと休むことが出来、現地に入ってから時差ボケを感じることはまったくありませんでした。17日現地時間の23時頃ミラノのホテルに到着し、そこで傳次郎さんから「ミラノ・トリノの両公演に参加するから、宗典君は演出補佐・スタッフとして打ち合わせにも参加して下さい」と言っていただきました。東京での打ち合わせの時から、シテ方の連絡役という役割をいただいていましたが、これにはとてもびっくりしました。と言っても迷惑だったとかそういうことではなく、むしろ逆に、海外公演でこのような役割をいただけることが大変嬉しかったのです。傳次郎さんは既に多くのプロデュース公演で演出・舞台監督の実績がありますし、そのノウハウをぜひ間近で学びたいなとかねてから思っていました。また自分が大学の時にミュージカル部の演出をしていた時の感覚がどこまで通用するかを試してみたいとも思いました。いずれにしても約10年ぶりに、舞台演出のスタッフワークに本格的に参入することになったわけです。その晩から早速現地スタッフと1時間ほど顔合わせと簡単な打ち合わせをして、終了後には傳次郎さんと軽く一杯飲んで床に着きました。
ミラノ滞在は18日から21日まで。18日は打ち合わせのみで、19日・20日が公演です。21日にはトリノに移動します。
翌日は朝から傳次郎さんと楽屋に入り、スタッフ達と演出の打ち合わせです。劇場はデル アルテ劇場。収容人数500人ほどで、小ぢんまりとしてはいますが空間・照明等が上手に使われています。日本では意外とお目にかかることが出来ないタイプの劇場かもしれません。ここでは傳次郎さんの発案で蝋燭を使って蝋燭能をすることになったのですが、現地の消防法の確認や、どのようにキャンドルを配置するか、また楽屋の作り方や照明の作り方まで、昼過ぎまで綿密に打ち合わせをしました。私はほとんどその遣り取りを聞いているだけでしたが、色々イメージを描いていたので大変有意義な時間でした。
そして頭を使っておなかも減ったので、外に出てお昼ご飯を摂る事になりました。実質上の現地第一食がこのピザです。ご存知マルゲリータ。この後イタリアでは10食以上ピザを食していますが、初めてということもあったためかこのピザが一番美味しく感じました。チーズはとろとろ。やはりピザは出来立てに限ります。値段も5.5ユーロ(750~800円)と比較的手頃な値段でしたし、大変満足のいくご飯でした。
そして午後からは全演者が劇場に入り、翌日の打ち合わせとなりました。翌日からの公演は21時開演という、日本ではありえない開演時間の夜公演なので、実質夕食を全員でゆっくり摂る事が出来るのはこの日だけでした。というわけで打ち合わせ終了後には、ホテルから程近いレストランで全員でご飯をしました。ホテルはミラノ中央駅すぐ脇のヒルトンホテルだったのですが、この近くには美味しいレストランがいっぱいあります。この後もミラノ滞在中は、昼ごはんで外したことは一度もありませんでした。
さて、写真は上からポルチーニ茸とパルミジャーノチーズのサラダ、ムール貝の白ワイン蒸し、そしてスーパーマリオのカットするローストステーキです(笑)。ムール貝の酒蒸しは午前中から食べたいと言っていた傳次郎さんリクエストでしたが、自分の中の大ヒットはポルチーニ茸のサラダ。ちょうど季節物で、トリュフやマツタケにも劣らない上品な香りがあり、それが旨み濃厚なパルミジャーノ・レッジャーノとライムの酸味と大変マッチして、いくらでも食べられてしまう究極の一品でした。
ここで皆で気勢が上がり、翌日からはいよいよ公演です!
さて、ミラノ編をすべて書き切ってしまいたいと思いましたが、やはりかなり長くなりそうなので続きはまた次回にしたいと思います。
ミラノ後編もお楽しみに!!
今回周った都市はミラノとトリノ。まずは旅の前半であるミラノ編をお伝えしたいと思います。
まずその前に今回の公演について簡単にご説明します。
今回の歌舞伎と能のお囃子の団体である『三響会』さんからご依頼を受けて伺うことになったものです。『三響会』さんは能楽大鼓方の亀井広忠さん、歌舞伎のお囃子の田中傳左衛門さん、田中傳次郎さんの三兄弟が立ち上げている団体で、今回は三男の田中傳次郎さんが舞台監督・プロデューサーとなり企画が実現しました。傳次郎さんは私と同い年で小さい頃から交流があり、そのご縁もあってお声掛けいただいたものです。二人の兄上はお見えになりませんでしたが、お父様の能楽大鼓方の人間国宝・亀井忠雄先生がトリノ公演からお見えになりました。
演目は2パターンあり、メイン公演では舞囃子と狂言『柿山伏』と半能『野宮』が行われ、劇場を変えたコンサート形式の公演では、一調『勧進帳』と素囃子『獅子』と舞囃子が上演されました。
シテ方は、私の他には従兄の友志・文志と坂口貴信さんという極少数メンバーでした。しかも従兄二人はミラノ公演のみ、坂口さんはトリノ公演とミラノコンサートのみで、ほぼフル参加するのは私だけだったので、公演演目のほとんどの役をさせて頂くことになりました。
出発は先月17日朝。そこまでの一週間は特に仕事が目白押しで究極の睡眠不足・時差ボケ生活だったので、逆に行きの飛行機で程よくしっかりと休むことが出来、現地に入ってから時差ボケを感じることはまったくありませんでした。17日現地時間の23時頃ミラノのホテルに到着し、そこで傳次郎さんから「ミラノ・トリノの両公演に参加するから、宗典君は演出補佐・スタッフとして打ち合わせにも参加して下さい」と言っていただきました。東京での打ち合わせの時から、シテ方の連絡役という役割をいただいていましたが、これにはとてもびっくりしました。と言っても迷惑だったとかそういうことではなく、むしろ逆に、海外公演でこのような役割をいただけることが大変嬉しかったのです。傳次郎さんは既に多くのプロデュース公演で演出・舞台監督の実績がありますし、そのノウハウをぜひ間近で学びたいなとかねてから思っていました。また自分が大学の時にミュージカル部の演出をしていた時の感覚がどこまで通用するかを試してみたいとも思いました。いずれにしても約10年ぶりに、舞台演出のスタッフワークに本格的に参入することになったわけです。その晩から早速現地スタッフと1時間ほど顔合わせと簡単な打ち合わせをして、終了後には傳次郎さんと軽く一杯飲んで床に着きました。
ミラノ滞在は18日から21日まで。18日は打ち合わせのみで、19日・20日が公演です。21日にはトリノに移動します。
翌日は朝から傳次郎さんと楽屋に入り、スタッフ達と演出の打ち合わせです。劇場はデル アルテ劇場。収容人数500人ほどで、小ぢんまりとしてはいますが空間・照明等が上手に使われています。日本では意外とお目にかかることが出来ないタイプの劇場かもしれません。ここでは傳次郎さんの発案で蝋燭を使って蝋燭能をすることになったのですが、現地の消防法の確認や、どのようにキャンドルを配置するか、また楽屋の作り方や照明の作り方まで、昼過ぎまで綿密に打ち合わせをしました。私はほとんどその遣り取りを聞いているだけでしたが、色々イメージを描いていたので大変有意義な時間でした。
そして頭を使っておなかも減ったので、外に出てお昼ご飯を摂る事になりました。実質上の現地第一食がこのピザです。ご存知マルゲリータ。この後イタリアでは10食以上ピザを食していますが、初めてということもあったためかこのピザが一番美味しく感じました。チーズはとろとろ。やはりピザは出来立てに限ります。値段も5.5ユーロ(750~800円)と比較的手頃な値段でしたし、大変満足のいくご飯でした。
そして午後からは全演者が劇場に入り、翌日の打ち合わせとなりました。翌日からの公演は21時開演という、日本ではありえない開演時間の夜公演なので、実質夕食を全員でゆっくり摂る事が出来るのはこの日だけでした。というわけで打ち合わせ終了後には、ホテルから程近いレストランで全員でご飯をしました。ホテルはミラノ中央駅すぐ脇のヒルトンホテルだったのですが、この近くには美味しいレストランがいっぱいあります。この後もミラノ滞在中は、昼ごはんで外したことは一度もありませんでした。
さて、写真は上からポルチーニ茸とパルミジャーノチーズのサラダ、ムール貝の白ワイン蒸し、そしてスーパーマリオのカットするローストステーキです(笑)。ムール貝の酒蒸しは午前中から食べたいと言っていた傳次郎さんリクエストでしたが、自分の中の大ヒットはポルチーニ茸のサラダ。ちょうど季節物で、トリュフやマツタケにも劣らない上品な香りがあり、それが旨み濃厚なパルミジャーノ・レッジャーノとライムの酸味と大変マッチして、いくらでも食べられてしまう究極の一品でした。
ここで皆で気勢が上がり、翌日からはいよいよ公演です!
さて、ミラノ編をすべて書き切ってしまいたいと思いましたが、やはりかなり長くなりそうなので続きはまた次回にしたいと思います。
ミラノ後編もお楽しみに!!
by munenorin
| 2009-10-09 05:50
| 能楽日記