人気ブログランキング | 話題のタグを見る

能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

あぁ眠い・・・

今日の午前中は、明日17日火曜の武田同門会の申し合わせでした。

今回の自分の役どころは『芦刈』のツレです。このツレはシテの元妻役です。落ちぶれて芦売りをしている元旦那の元に、今は高貴な人の乳母となって財を成した元妻が現れることで展開する舞台。能には珍しい世話物的な夫婦人情劇で、大変分かりやすいストーリーの舞台です。
あとは二番目の『春日龍神』にも地謡として出演いたします。

武田同門会は、武田一門の能楽師が同人組織として活動している舞台で、出演人数も少ないので、このように2番掛け持ちで出演することは珍しくありません。体力的にはまったく問題ないのですが、とにかく

足が痛い・・・

私はこの間の日曜日にも『正門別会』で『木曽』の立衆として出演していますが、この立衆や芦刈のツレをはじめ、登場人物が舞台上で座っているとき、よく立て膝で座っています。これがただの立て膝ではないのです。私たちの流儀では右膝を正座のように折り、左膝を立てて座るのですが、この時右足の土踏まずの上に左足のかかとを乗せて、両足が開かないように座るのです。

出来ますか?

やってみるとお分かりになると思いますが、体が固かったり足が太かったりするとまずこの姿勢になることも難しいと思います。これを崩さずに30分、時には1時間以上も座るのはかなりの鍛錬が必要です。

明日は午前中に水曜日の研究会の申し合わせがあり、そこでも地謡があるので、脚のスタミナが何とも気がかりです008.gifとにかく今晩はしっかり脚を休めて、明日の舞台には万全の状態で立っていたいです。

また脚の問題だけでなく、芦刈の男の元妻としての情感や気品も大事にしていきたいと思います。大変ですが楽しみでもあります。
同世代の従兄弟たちがシテを勤める舞台、狂言も野村萬斎さんと大変観やすい番組立てです。もしお時間があったら、16時から渋谷区松涛の観世能楽堂まで足をお運びください。当日券もございます。

それにしても昨日の昼くらいから何かに取り憑かれたようにずーっとねむい・・・

お休みなさーい
# by munenorin | 2008-06-17 01:01 | 能楽日記

正門別会他

今日はこの間触れました『正門別会』当日でした。

会すべてを通して色々思うことはあったのですが、やはり思ったことは

『関寺小町』は難しい!ということでした。

俗に『三老女』と呼ばれる残りの曲、『姨捨』・『檜垣』と比しても難しいだろうと思われるのは、お囃子との駆け引きや謡い方などが大変に難解であるということの、いわば技術的な問題がまず一つです。私の小鼓の師匠である、今回の『関寺小町』の小鼓をされた大倉流宗家・大倉源次郎先生のお父様、先代の大倉長十郎先生が仰っていたという、「関寺は若いうちに決して出来る曲ではないが、若いうちに覚えておかないとややこしくて、年をとってからはとても覚えられる曲ではない」というお言葉が思い出されます。

それに加え、『関寺小町』が現在物であるということに尽きます。現在物というのは、お芝居の流れが現在進行形で進んでいる能のことで、その時代に生きていた人達がその生きていた時代をそのまま演じる、普通のお芝居のような舞台のことです。分かりやすい例で言えば、『安宅 勧進帳』などの曲目でしょうか?その対照に位置するのが夢幻能と呼ばれる、幽霊が主人公の能です。
三老女の他の2曲はいずれも夢幻能ですが、関寺だけが現在物です。つまり、関寺だけが本当のお婆さんに見えなくてはならないという制約を強く持っています。
すごく分かりやすく言えば、『姨捨』『檜垣』に関しては仮にそれを演じる役者が多少若くても、卓越した技術を持っていれば曲をクリアできる可能性がありますが、『関寺小町』だけはしっかり年齢を重ねなければ曲が成立しないということです。
その意味で、本日の四郎師の『関寺小町』はまさに機が熟した上での演能であり、普段の四郎師の延長線上に実った小町像であったといえるでしょう(老女物、老女物と言っていますが、小野小町は100歳の老婆という設定で登場しています)。

若輩者が偉そうなことを言いましたが、関寺だけは演者の年齢と芸力が一致しなければ到底成しえない、”秘曲”ということなんだろうと強く感じました。本当に良い勉強になりました。


なんだかとっても専門的で堅苦しい話になってしまったので、最後にまったく無関係のライトな話を一つ011.gif

今日の朝、初めて地下鉄副都心線に乗りました。下はその写真です。まだ出来たてなせいか、とっても運転が慎重でした。
私の住まいからの一番の最寄り駅である「東新宿」から、仕事場である「北参道(国立能楽堂傍)」「明治神宮前(観世宗家事務所傍)」「渋谷(観世能楽堂傍)」に一本で行けるという、自分にとってはめちゃめちゃらっきぃな電車です。今後は乗る機会が増えそうです。

正門別会他_b0145146_0565481.jpg
正門別会他_b0145146_0571324.jpg

では明日の朝は武田同門会の申し合わせ、そろそろ休みます。頑張ってきます!
# by munenorin | 2008-06-16 00:59 | 能楽日記

学生時代以来?!

昨日金曜の晩、ふと思い立ち夜中にドライブに行ってきました。あまりこんなことはしたことないのですが・・・。どこに行こうかと考えた挙句、あまり人もいないだろうと千葉方面に行ってきました。湾岸線から京葉道路、木更津を経由して館山道に入り、海沿いの『富津金谷』というインターで降りました。

実はこの館山道を少し先に行くと、幼稚園からの友人の別荘がある岩井海岸の近くに出るのですが、近くまで行ってその別荘に侵入したくなったら困るので、あえて土地勘のないこのインターで降りました。

とにかく人がいない。車もない。電車はぜんぜん走ってない(笑)。インターを降りてすぐのところにマンションだかの車寄せのようなところがあり、ここに車を止めてひたすら海を眺めていました。周りにはあまり明るいものもないので、月に照らされた海が静かに黒く光って見えます。また、夏に近い空の割には星もとても綺麗に見えました。
そしてなにより空気が美味い。

自分は生まれてこのかたずっと東京在住で、父方母方とも三代前から東京に住んでいるくらい、DNAから江戸っ子なのですが、この人の居なさ加減と空気と自然の美しさにはみるみる身体が癒されていきます。来て良かった、と素直に思いました。

帰りは行きと道を替え、木更津から海ほたる経由で川崎に出て都内に帰ってまいりました。海ほたるも本当に久しぶりでしたが、ここも恐ろしく人がおらず、ほぼ完全貸切状態。何でも出来て10周年とかで、今意外と穴場なのかもしれません。東京湾から眺める海と都内一円の夜景を堪能してきました。

写真は木更津で入った食べ物やさんの地物の岩ガキと、これもまた千葉県産の”ときめき鶏”という地鶏のメニュー、それと海ほたるで撮った十勝からの馬の輸送車の写真です。撮影がまだあまり巧くなくてスミマセン。
最近は地鶏と謳ったものが本当に増えましたね。なんとも可愛い名前です056.gifこれは唐揚げで戴きましたが本当に香ばしくジューシーで美味しかったです。
馬の写真は少し分かりにくいのですが、車の真ん中に馬の絵が小さく書いてあります。従兄弟が競馬大好きなので、思わず撮ってしまいました。

学生時代以来?!_b0145146_0194989.jpg
学生時代以来?!_b0145146_0201088.jpg
学生時代以来?!_b0145146_0202519.jpg
すべてひっくるめてドライブは所要時間6時間弱、たまにはまたやってみたいと思います。

明日は正門別会、『木曽』の立衆頑張ってきます!
# by munenorin | 2008-06-15 00:23 | オフ、ふっ、ふ。