能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

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心に刻まれたことば

今日は観世能楽堂で『岡庭祥大独立10周年記念能』当日でした。曲目は関根祥六氏の『翁』と岡庭氏による『道成寺』。他に狂言・舞囃子・仕舞・連吟がありました。
岡庭氏にとっては披き(初めて)となる大曲『道成寺』なので、何と言ってもメインはそこになります。私も地謡の末席で『道成寺』に参加させて頂きました。

ある先輩が、”『道成寺』は披きに限る”というようなことを以前に仰っていたのを耳にしたことがありますが、今日はまさにその言葉を象徴するような『道成寺』でした。
『道成寺』に参加している全員が、とにかくシテのためにと一生懸命になって舞台を創り上げる。そしてシテは、未熟ではあってもとにかく気持ちだけは負けないようにと精一杯の稽古の成果を披露する。自分も今日は地頭の気合に引っ張って頂いて、まさに汗にまみれるほど懸命に謡っていましたが、気がつくと心の中でシテに『頑張れ、頑張れ』と(先輩ではありますが)エールを送っている自分がいました。これは『道成寺』の披きでなければ得られない感覚です。そして最後の退場の折には、満場のお客様から本当に心温まる拍手をいただくことが出来ました。

舞台終了後には岡庭氏の気持ちがこもった宴席に招いて頂きました。
そこで最後に締めのご挨拶をされた狂言の山本東次郎氏から、素敵なお言葉を聞かせていただくことが出来ました。色々な事を仰られていたのですが、中でも『人はけなされることには我慢できるが、おだてられることには我慢できない』というお言葉。つまり自分をしっかりと戒めなければ、人間というものは簡単に慢心してしまうものだ、ということです。そしてもう一つ、『師のあとを追いかけてはならない、師の求めていたところを追いかけよ』というお言葉。こちらは特に心に響きました。師匠・並びに先人達が何を目指そうとされていたのか。これをしっかりと考えて日々行動しなければ、結局は真に自分自身の骨肉となった舞台を創り上げることは出来ないの
ではないかということに気付かされました。

東次郎氏はこのような舞台に関する様々なお話を、ご自身が10代から20代の半ばにかけての頃、晩酌の折にお父様から毎日のように聞かれていたそうです。きっとこの大事な時期にお聴きになられたお話が、今の東次郎氏の大事な基礎となっておられるのでしょう。もう70歳を超えられる年齢になられた狂言の名人のお一人ですが、とてもそんな年齢にはお見受けしないほど見た目も身体も若々しくおられ、我々のような若輩にもいつも恐縮してしまうほど丁寧に接して下さいます。またユーモアに溢れた洒脱な面もお持ちで、まさに清濁併せ呑んでいらっしゃる方です。自分にとっては数少ない、心から尊敬している大先輩です。

今日お聴きしたおことばは、自分にとって一生の指針となることでしょう。今後、もし自分の立場が社会的に上がっていくことがあったとしても、この思いだけは忘れないようにしていかなければなりません。そして、能楽師である前に、人間として誠実でありたいと心から思いました。

また明日から階段を一歩一歩、ですね!
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by munenorin | 2009-01-31 23:56 | 能楽日記

サボリ癖!?

この4日ほど記事の更新を怠ってしまっていました。身体の具合が悪かった、とうわけではないのですが、もしかしたらサボリ癖が出てしまったのでしょうか?

ただこの数日は、毎朝なぜか6時前には目が覚め、その流れで夜は夕飯がすむと強烈な眠気に襲われてしまっていたので、それが晩に1日を振り返ることが出来なかった理由なのかもしれません。だから今日は大事をとって夕飯前(正しくは稽古前)にブログ更新です(笑)。

さて、昨日は申し合わせと稽古の後、久しぶりに整体に行ってきました。我々舞台に上がる人間は、どうしても身体のケアの為に、ある程度定期的に整体などのマッサージに通わなくてはなりません。これを怠ると身体の不調から腰やヒザが慢性的に悪くなったり、謡っていてもお腹に力が入らなくなったりもします。そしてやがては舞台で長時間正座を出来なくなったり、能を舞えなくなったりもしかねないのです。

私は実に3ヶ月ぶりの整体でした。

実は2ヶ月ほど前から、特に左の肩から背中が張っていたのですが、それがいよいよ強烈になってきたので、たまらず治療に行きました。
いつも担当して下さる先生から『別人のように身体が固まっています』と言われましたが、入念な治療の甲斐あって、正しく別人のように身体がラクになりました。今まで凝っている状態が通常化していたのだな、というのが身を持ってわかりました。ただ相当強烈なコリだったので、来週にもう一回行って、しっかりと元の身体に戻してきたいと思っています。

一般的なデスクワークでも、肩こりや腰痛など、特にこの時期は身体も冷えるので、皆さんひどくなりませんか?あまり悪くなる前に、しっかりとケアすることをお勧めします。日常の疲れの取れ方も全然違いますよ!
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by munenorin | 2009-01-30 18:02

追善「檀の会」

今日は松木千俊氏主宰の、檀の会当日。

私は『江口』のツレと『熊坂』の地謡でした。今日上演の能2番共に出演させて頂いたことになります。

『江口』のツレは、後場のごく数分の登場時間ですが、江口の遊女としての華やかさを引き立てるために重要な役どころだと思っています。そしてやっぱり演じてみると、色々と課題がありますし、シテを引き立てるためにはまだまだ精進しなければならないなという思いになりました。

そして『熊坂』は千俊氏のご子息で高校2年生の崇俊君。
『熊坂』は長刀を持って暴れまわる能なので、まず若手が演じるには徹底的な稽古で舞台に上がるための強さを養うことが必要とされます。その意味で、もちろんあらゆるところがすべて粗い感じではありましたが、思い切りの良さは評価できる内容であったと思います。

さて、今日の会は千俊氏のお父様、松木千冬氏の17回忌追善という特別な会でした。追善会というのは、ご先祖様に対して私達子供達はこんな風に頑張っていますよ、というある種のご供養の意味を持った会です。『江口』も『熊坂』も追善の演目としてはよく選ばれる能です。
そして今日は会のあとに能楽師だけの宴席があり、そこで千冬氏の思い出話や、今日の『江口』はどうだった、との批評の会にもなるわけです。
千俊氏はそんな場を「とてもありがたいことです」と何度も仰っておられました。この謙虚な姿勢が、次の舞台への熱い思いとなり、稽古への新たな原動力となるのだと思います。

自分を客観的にみるというのは本当に難しい作業です。それが出来るようになるには私自身まだまだ時間が掛かります。そのためにも先輩方、時には同い年の仲間からのご意見というのは本当にありがたいものなのです。誰からも何も言われなくなってしまったらおしまいです。
そして芸の階段は一気に駆け上がることは出来ません。一段ずつ着実に上っていかなければ実を結ぶことはきっとないのです。

また明日もしっかりと稽古に励まなくては、と思った今日一日でした。
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by munenorin | 2009-01-25 23:38 | 能楽日記

25年のお付き合い

今日午前中は「檀の会」の申し合わせ。私は『江口』のツレと『熊坂』の地謡をいただいています。本番は日曜日。シテの創り上げる世界観を損なうことの無いよう、精一杯取り組みたいと思います。

さて、今日はその午前中の申し合わせだけだったので、午後からは久しぶりに家でのんびりしてしまいました。本当はやらなければならないこともあったのですが・・・甘えが出てしまうのかなかなか思うようには行きませんね008.gif

そして夜は、父と妹で私の誕生祝いをしてくれました。場所は恵比寿にある老舗のイタリアン『コルシカ』。私が小学生になるかならずかからのお付き合いなので、かれこれ25年近いお付き合いということになります。

b0145146_343943.jpg今日はいろいろいただきましたが、写真のパスタはイカ墨のパスタと鰯のトマトソースパスタ。イカ墨パスタはここの名物メニューで大変美味しいのですが、鰯の方は季節限定のメニュー。これが鰯の旨みが濃厚で、本当に美味しい一品でした。




b0145146_35355.jpgそしてもう一つの写真が子羊のグリル。妹が大好きでセレクトした品ですが、マスタードが効いていて中はジューシー。先日の西安でも感じたのですが、羊肉というのは調理の仕方によってはまったく臭みも出ませんし、あっさりと食べることが出来ます。羊肉は他の肉料理と比べても、世界中のかなり多くの土地で頻繁に食べられているように思いますが、日本では若干メジャー度が低い気がします。これは少し不思議なことですね。


帰宅後はケーキでお祝いをしてくれました。ケーキはANTENOR。




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ケーキでお祝いをしてもらっているとき、昨年の誕生日には祖母も含めて3人でお祝いしてくれたのだとふと思って、一抹の寂しさを感じてしまいました。なぜか祝い事の席など、おめでたいものの時ほど祖母のことを思い出してしまいます。

母が亡くなってからの5年余り、いろいろなことで家族4人、力を合わせて生きてきました。これからは3人の日々ですが、しっかりと家族を支えながら生きていかなければなりませんね!
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by munenorin | 2009-01-24 03:05 | オフ、ふっ、ふ。

西安男二人旅 その4

続いて西安市内に戻ってきてから、帰国までの一部始終です。

b0145146_23434493.jpgさて、こうして市内に戻ってきたのが17時半。ちょうど日が傾きかけていたところだったのですが、ここでベンマスさんリクエストの「城壁の上から夕日の写真を撮る」に急いで向かいます。昨日も昇った城壁ですが、夕日に照らされた城壁はまた最高の風情を醸し出します。この城壁は西安をもっとも端的に象徴する、ノスタルジー溢れる建造物でした。こうして夕日の写真を撮った後は、何だか二人とも城壁に名残が残ってしまったので、しばらくまたこの上を歩いてみることにします。前日の自転車とは一味違った落ち着きのある時間でした。

b0145146_23444047.jpgこうして700メートルほど歩いたところに街への降り口があったので、ここで街に戻ることにします。その降りたところがこの写真の建物なのですが、とても良い感じですよね?この城壁沿いの道はちょうど大通りの裏側に辺り、表には商店が軒を連ねています。


b0145146_2345133.jpg例えば飲食店の厨房なのか、中庭には鶏が丸干ししてあったりもします(写真参照)。















b0145146_23455022.jpgまたこの中華風のガソリンスタンドなども面白いですよね。NHKBSの『世界ふれあい街歩き』ではありませんが、生活感がありながらどこか端正な佇まいを見せる街並みをぶらぶらとホテルまで30~40分ほどかけて歩いていました。



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b0145146_23471358.jpgホテルに戻った頃には18時半を過ぎていたので、荷物を置いて夕飯へと繰り出しました。向かった先は前日の夜にも訪れた、化覚巷という屋台街。ここからイスラム街と呼ばれる清真大寺周辺へと歩きながら、屋台の食べ物を食べ歩く!というのがこの日の夕飯プランでした。

b0145146_23473784.jpgまず最初に入ったお店では、羊の串焼きと川海老の四川炒めを食べました。羊の串焼きは中国北部の屋台の定番メニューですが、ここの串焼きは香ばしくスパイシーに焼いてある一品でした。そして川海老の四川炒めは、御覧の通り全てが真っ赤な食べ物。西安は内陸深くにある都市なので、海産物の食べ物はまったくと言っていいほどありません。その中では珍しい魚介系の料理でした。他の四川料理と同様、山椒がとっても利いていますが、見た目ほどの辛さは無く殻ごと食べました。

b0145146_2348742.jpg二件目の店は御覧の通りのお店。写真の通り店員さんは皆白い帽子をかぶっていて、これは少数民族・回族の証です。この西安はもともとシルクロードの出発点でした。そんなこともあってか、漢民族だけでなく、こういった回族のような西方の新疆ウイグル系の民族も数多くいるのです。ここで食べた品は御覧のチャーハンとスープ。

b0145146_23482921.jpgこのチャーハンはキムチのような発酵した漬物のような野菜がアクセントになっていて、とても美味しかったです。西安ベスト3に入る味でした。


次に匂いに惹かれて買ったのがまたしても羊の串焼き。











b0145146_23492632.jpg焼いている青年は完全にウイグル系・西洋系の顔つきでした。そしてここの串焼きが絶品!ジューシーかつスパイシーで適度に脂も乗っていて、本当に美味しかったです。この串焼きと先ほどのチャーハン、そして初日の夜に食べた焼きそばが、西安ベスト3のメニューということで二人の意見は一致しました。それら全ては屋台、或いは半分屋台のようなお店のもので、日本円で100円前後の品ばかりです。チャイ旅では、いかにリーズナブルで美味しいメニューを探すか、ということが楽しみの一つになりました。また変な話ですが、この旅の間、二人ともおなかを壊すようなことは一切ありませんでした。

こうして1キロ以上に及ぶ距離を歩きながら食事を済ませましたが、回族のお店にはアルコール類というものが一切置いていません。イスラム教ではお酒が禁じられているからなのですが、その晩食べたメニューはほとんどがお酒のつまみにピッタリなメニューばかり。そこでなんとなく二人は仕上げにお酒が飲みたくなり、西安唯一のバー・カフェストリート徳福巷珈琲一条街へ。ここで比較的静かで落ち着いたお店を見つけ、1時間半ほどお酒を酌み交わし、普段なかなかゆっくり話すことの出来ない積もる話をして、旅の仕上げとしました。

翌日はホテルを6時出発。早い時間の出発でしたが、ホテル内のビジネスセンターに車を頼んでおいたので安心でした。フォルクスワーゲンで空港まで40分あまりの道のり、120元(約1800円)。日本では考えられない安さです。ちなみに行きはボロボロのタクシーでこの倍以上取られましたが(苦笑)。
b0145146_23501058.jpg万一を考えてホテルを早めに出発しましたが、結局空港ではだいぶ時間が余ったので、みやげ物屋を覗いたり、珈琲を飲んだりしていました。写真はカメラを向けられてとっさに変顔を作ったベンマスさんです(笑)。

帰りもトランジットで上海を経由して成田空港へ。予定より10分早い15時10分の到着でした。

大変心待ちにして臨んだ今回の旅でしたが、実際にはその旅への期待感をさらに大きく上回る楽しさで、本当に充実した西安紀行でした。とても実質二日間とは思えないほどの、数多くのモノ・人・歴史との出会いでした。そしてベンマスさんも自身のブログに書いていますが、旅を終えて、また今度二人で旅に行こう!と思えたことは何よりの収穫であり、喜びでした。
とても長い文章になってしまいましたが、最後までお読みくださった皆様、拙い紀行文にお付き合いいただきましてありがとうございました。

さて、次はいつ、どこへ行くことになりますでしょうか・・・037.gif
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by munenorin | 2009-01-24 02:39 | オフ、ふっ、ふ。

西安男二人旅 その3

「その2」があまりに長すぎて写真も多かったので、特に携帯などからはうまく見ることが出来ないとのご指摘をいただきました。そこで「その2」を3分割にしました。内容は全て同じです。

続きは兵馬俑の最後のところからです。

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さて、以上の文章は宋さんのガイドの受け売りのごく一部分ですが(笑)、このように宋さんの説明がとても上手だったことや、兵馬俑の中が体育館のような構造で寒かったために帰りがけにお茶屋さんに入ったりもしたので、結局ここには3時間以上滞在していました(通常では2時間前後だそうです)。普通の観光ツアーだとこういった時間の自由が利かないのですが、そこは個人旅行の利点で、気ままにのんびりと観光することが出来ました(写真真ん中が宋さん)。

b0145146_23382996.jpg次に向かった先は始皇帝陵墓。兵馬俑から1.5kmほどの距離です。ここは写真のように小高い丘が存在するだけ。あまり華美な装飾はありません。ただこの山が様々なところから集めた土で作られた完全なる人工の山であること、お墓の中には水道管のようなものが作られていたことなど、莫大な時間と富をかけて作られたものであることは間違いありません。ちなみに学生時代エジプトに一人旅をしたベンマスさんによれば、この陵墓の規模はピラミッドのはるか上を行く大きさなのだそうです。


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その後、昼ごはんはガイドさんおススメの近所のレストランへ。写真はベンマスさんセレクトのおなじみピータン。ここでは羊と葱の炒め物が美味しかったです。




b0145146_2340869.jpgそして最後に向かった先は華清池。ここに着く頃には既に15時を廻っていました。最初に兵馬俑に着いたのが9時半前だったことを思うと、あっという間の時間の経過でした。
ここは私のリクエストで連れて行ってもらったところです。やはり玄宗皇帝と楊貴妃のロマンスの地、と聞けば、能『楊貴妃』を思わずにはいられません。また『楊貴妃』は特に自分自身大好きな作品であるので、これは行かない手はないと思っていました。


















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この華清池は先ほど玄宗皇帝の別荘であると書きましたが、実際には今から3000年前、紀元前1000年頃の周の時代に造営されたものであるといわれ、大変歴史のある保養地です。その理由はこの地に温泉が湧くからで、今もここには滔々と温かいお湯が湧いています。



b0145146_23414416.jpg写真に写っている人物像は楊貴妃の像ですが、御覧いただいても少しわかる通り、この敷地内の建物は多くが1900年代に改装されたもので、そこまで風情を感じられる作りというわけではありません。しかしそんな建物に囲まれるようにして、古代の温泉の遺跡(写真は楊貴妃専用の浴槽)が残されています。

b0145146_23423634.jpgここで一番びっくりしたのは、ここは歴代の中国の皇帝が滞在していた地というばかりでなく、第二次世界大戦後に、共産党の毛沢東と争っていた国民党の蒋介石が逃げ込んだところでもあるそうで、建物の中には蒋介石を狙ったと思われる生々しい銃弾のあとが残っています(写真参照)。
そんな中、ここで一番メインになったのはやはり温泉!ここは観光施設なのですが、その中で温泉に入れるというのはなかなか体験できないことです。

b0145146_2343834.jpgお湯は入湯料30元のものから、個室・ベッドつきのちょっと妖しい500元(約7500円!)のものまでピンからキリなのですが、お湯から出たあとに湯冷めする恐れもあったので、私達は結局一人20元の手軽な足湯を体験してみることにしました。これがその写真です。常にほぼ零下の気温の地では、足先がまず真っ先に冷えます。そして足が冷えると体中が固まるような感覚になるのですが、この足湯で(手もお湯に突っ込みましたが)文字通り、身体全部が解凍される感じでした。15分ほどの入湯で体がすっかりリセットされ、この温かい心地は西安市内に戻ってからもしばらくの間は続いていました。

こうしてこの3箇所の観光を終え、ガイドさんと別れたのが16時半過ぎ。別れ際にガイドさんが言っていた、「ここで出逢ったのも神様が導いたご縁があったからです。有難うございました」という言葉が今も耳に残っています。このガイドさんは36歳・年女。聞けば兵馬俑の近所の機械工場で工員として働いていたのを、30歳のときに一念発起して日本語を学び始め、こうして観光客向けのガイドをするようになったそうです。とても日本語歴6年とは思えないほどのわかりやすい丁寧な日本語でしたし、折に触れて「この言葉はどういう意味ですか?」と熱心に質問していました。月並みな物言いですが、人間努力すれば必ず花開くのだな、という実感を強く持ちました。
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by munenorin | 2009-01-24 02:34 | オフ、ふっ、ふ。

西安男二人旅 その2

随分時間が空いてしまいましたが、西安2日目の旅の模様をいよいよお伝えしたいと思います。先日デジカメの写真をうまくブログにアップする術を身につけたので、今回は結構良い写真を載せています。今までは携帯からの写真のみだったので、どうしても画像に乱れがありました。

さて先日お知らせした通り、2日目は西安近郊に 車で出掛ける予定でした。8:30に全日空ホテルのロビーに集合ということだったので、7:45に西安城市酒店を出発して、前夜に散歩していて見つけた、ホテル裏手にある小吃店街で朝ご飯を食べることにしました。

b0145146_23294795.jpg入ったお店がこちらで、注文したのがこちら。見た目通りのいわゆる豚まんですが、つけダレがスパイシーで美味しく、豚まんそのものも出来立てホヤホヤで本当に身体が温まりました。
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この小吃店街は複数の団地やビルの谷間にあって、しかも各入り口には大きな門まであり、普通に歩いていたらちょっと見つけられないような不思議な空間でした。でもこの朝ご飯の時間は、ある意味で西安人の生活に一番密着した時間だったように思います。

b0145146_2330819.jpgそして朝食後は待ち合わせの全日空ホテルのロビーへ。用意してくれた車は今話題の(?)GM社の高級車。少々値は張りましたが、その甲斐あってさすがの快適空間でした。運転手さんも丸顔でニコニコした、如何にも人の良い感じの方でした。

さて、自分たちでセレクトして向かう先は、西安東郊外にある兵馬俑と始皇帝陵、そして玄宗皇帝と楊貴妃の別荘だった華清池の三カ所です。

b0145146_23303912.jpg最初に向かった先は兵馬俑ですが、その道中に映した写真がこの朝日に照らされた煙突。照り映えてあまりに綺麗だったので写したのですが、この煙突は或いは西安の少し煙った空気と関係があるのかもしれませんね。

さて兵馬桶の駐車場に到着して車を降りた途端、日本語で話しかけてくる女性がいました。聞けば兵馬俑のガイドをしてくれるとのこと。当初はガイドさんを頼む予定ではなかったのですが、ガイド料が120元(約1800円)と比較的安価だったこともあり、この方(宋さん)にお願いすることにしました。このガイドさんの解説がとてもわかりやすかったので、結局宋さんには、後で始皇帝陵と華清池にもご同行をお願いすることになります。

b0145146_23324156.jpg兵馬俑の天気は写真のとおり、眩しいくらいの快晴!雲一つありません。


















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兵馬俑とは秦の始皇帝の陵墓の近くに埋められていた実物大の兵隊や戦車のことで、それらは全て陶器で作られたものです。1987年に世界遺産に登録されているので、ご存知の方も多いと思いますが・・・。ずっと地中に埋まっていたものを、1974年に近所の農民である楊さんが井戸を掘ろうとしたときに発見し、今尚発掘が続いている古代の遺跡です。割と最近になって見つかったものなので、現在でも調査中・発掘中のところが数多くあって、まだ多くの部分が謎に包まれています。b0145146_23343076.jpgちなみにこの楊さんという人はまだご存命で、この発掘によって人生が変わり、今は観光客向けにサインを書くことが仕事となっています。写真を撮ることは禁止だったので画像はありませんが、キセルを粋に吹かしていて、一昔前の中国の好々爺といった感じの風貌でした。何でも農民をやっていた頃は字が書けなかったそうで、発掘後にサインの練習をして書けるようになったそうです。

b0145146_2336128.jpgさて、兵馬俑は一号坑から三号坑まであり、他に発掘物の中で特に目を引くものを集めた、始皇陵文物陳列庁という建物があります。ここに出ているものは主に一号坑と陳列庁で撮影した写真です。一番上の偉そうな風貌の人物は、6000体ともいわれる人形の中で数体しかないといわれる将軍の人形。お腹が出ているのが裕福であることの証だそうです。


b0145146_23364341.jpg一号坑は兵馬俑の中で最大規模を誇り、御覧のように無数の兵隊が立ち並んでいて、それは壮観な光景です。ただ長い年月の間に様々に荒らされたりもしたので、例えば顔がなかったり、身体の一部分が欠けたりしている物が
ほとんどです。中でも象徴的なのは、本来は武器を持っているはずの人形に一つの武器も残っていないこと。これはその昔「項羽と劉邦」の時代、項羽の軍隊がこの近くに陣取っていたときに兵馬俑を見つけ、人形が持っていた武器を根こそぎ奪ってしまったからなのだそうです。
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by munenorin | 2009-01-22 00:30 | オフ、ふっ、ふ。

日本の神様カード

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今日はゆの里の謡サロンでした。ご参加いただいたのは30名の皆様。そのうちの半分以上は謡サロン初体験の方々でした。

初めての方が多かったので、最初は少し緊張した感じの空気でしたが、時間を追うごとにどんどん皆さんがリラックスした様子になり、最後の謡の稽古では皆さん汗だくになるくらい、一生懸命謡って下さいました。とても良いオーラの中でサロンをさせていただいたので、こちらまで元気になったような気がします。

サロン終了後には、お弟子さん方とゆの里の皆さんと夕飯をいただきました。いろいろな楽しいお話に花が咲いたのですが、突然灯りが消え、ケーキが出て来ました。実は今日は私の誕生日でした。皆さんにお祝いしていただいて、本当に幸せな1日でした。
そしてお弟子さんが誕生日プレゼントで下さったのが、この『日本の神様カード』。トランプのようなカードに日本のいろいろな神様が描かれています。このカードの正しい遊び方は、深呼吸を三回してカードを一枚引き、その神様のお導きの通りに行動するというものです。私が引いたのは『天照大神』でした。

今年中に御伊勢参りに行かなくては、と気持ちを新たにした次第です。
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by munenorin | 2009-01-20 23:14

関西風洋食

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今日から大阪です。

昨晩中に西安紀行のブログを完成させようと思いましたが、予想以上に時間が掛かってしまったので、続きは帰京後に更新することにします。

写真は大阪天満宮前「天満天神繁盛亭」の目の前の洋食屋さん、「樹林亭」のハンバーグ定食。昼ご飯にいただきました。ハンバーグがジューシーかつ少しスパイシーで、デミグラスソースと上に載った目玉焼きが濃厚な味わいを作り上げます。高級感漂う割にはリーズナブルな価格ですので、関西地区にお住まいの方は一度訪れてみられてはいかがでしょうか?

さて、今日は大阪謡サロン一日目。今回のサロンは「熊野」を特集しました。「熊野」は世阿弥作の、春の名作の一つ。能楽界では俗に『熊野松風に米の飯』と言われるくらい、見どころ聞きどころの多い飽きのこない作品です。
今日は10人程の参加者の皆さんの一体感をとても強く感じたサロンでした。何か温かい空気でサロンを満たしていただけたようです。本日参加の皆様、ありがとうございました。

今日の謡サロン後には、今月から仕舞の稽古を始められるお二人の初稽古もありました。お二人とも素直に耳を傾けて下さるので、実にスムーズに稽古が運び、第1回は無事終わりました。そして何より、心から楽しんでいただいていることを感じることが出来たので、とても嬉しい気持ちになりました。

そして今は橋本のゆの里にいます。明日はゆの里のサロン、明後日にまた大阪でのサロンがあります。この3日間は今年一年のサロン初めですので、また一つ気合いを入れ直して、楽しいサロンを展開していきたいと思います!
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by munenorin | 2009-01-19 23:59

西安男二人旅

永らくお待たせいたしました。いよいよ西安旅行記を書こうと思います。携帯からの写真のアップ等で少し時間を食ってしまいましたが、ようやく準備が整いました。

西安紀行は3泊4日ですが、実質自由に使える時間は中間の丸2日だけでした。しかしとても中身の濃い2日間だったので、行き帰りの移動も含めて2回に分けてお送りしたいと思います。

一緒に旅をした仲間は、大学時代からの友人のS君。このエキサイトでブログをやっていてリンクをお互いに貼っている仲間でもあり、ミクシィのペンネームはベンマスさんです。

出発は前述の記事の通り、1月10日。16時20分成田発と、比較的遅めの出発でした。安いツアーで申し込んだので、途中上海でトランジットがあり、西安着は現地時間で22時ちょうど。予定より10分早い到着です。荷物を受け取って客引きのタクシーに乗り(若干割高でしたが)、市内に着いたのが23時少し前でした。

泊まったホテルは西安城市酒店。別に酒屋というわけではなく、中国ではホテルには、「酒店」もしくは「飯店」という名称がついています。安めのシティホテルという感じでしたが、部屋には一通りの設備が揃っていてフロントの対応もまずまず、何より西安市内のど真ん中という立地なので、我ら「部屋では寝るだけ族」にはピッタリの宿でした。

さて、飛行機内ではトランジットを挟んで2回の機内食が出たものの、そこはやはり機内食。どこか物足りない感じは否めなかったので、遅い時間でしたが宿到着後に、夜食を探しがてら街に出てみることにしました。気温はおそらくマイナス3度くらい。しっかりと着込めば何とか凌げる程度の寒さです。

b0145146_0195834.jpg結局、外出15分程度でありついた西安第1食が、この写真のメニューです。半屋台で売っていたアヒルの四川風辛煮、同じくアヒルの手羽の醤油煮、そして匂いに惹かれて買った屋台の醤油焼きそばです。これで計16元。日本円で240円程度。やはり屋台の食べ物は安いです。これらをお土産にして、宿でビールのお供にしました。
帰りの飛行機の中でベンマスさんと話していたのですが、この屋台の焼きそばが西安滞在中もっとも美味しかった食べ物の一つということで二人の意見が一致しました。それくらい味は申し分なく、ビールにピッタリの一品でした。
この酒盛りで大いに気勢が上がり、翌日からはいよいよ西安で本格的な旅の始まりです!

翌朝は7:45起床。8:30にホテルを出発しました。まず目指したところは近くの旅行会社。

前日の飛行機の中で二人で大まかに決めた旅の計画は、初日に思う存分西安市内を街歩きし、二日目に兵馬俑をはじめとする西安近郊の名所に出掛けるというものでした。ただ近郊に出るには、車を調達しなければならないので、市内の旅行会社で独自のツアーを組んでもらわなければならず、ガイドブックを当てにして、テクテクと徒歩15分ほどの距離にある全日空系列のグランドキャッスルホテル内のJTBのツアーデスクを目指しました。
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そこで徒歩の間に最初に撮った市内の写真がこれ。またあとで詳しく述べることになりますが、西安は周囲を城壁に囲まれた、とても風情のある悠久の古都です。朝日に照らされた城壁と城門をまず撮影してみました。
さて、全日空ホテルに着きましたが、なんとJTBのツアーデスクはしばらく前に無くなってしまったとの事。やはりガイドブックというものはあまりアテになりません。まして日々目まぐるしく変容を遂げている中国のことですから、なおさらのことなのかも知れません。ただ、ホテルのフロントの方が、「うちのホテルから車を出します」とのこと。自由が利きそうで快適な環境を保障してくれそうだったのですが、若干割高に思ったので、とりあえずはそこを後にして、別の旅行会社を手当たり次第に当たってみることにしました。
b0145146_032872.jpgそんなこんなで歩いているうちにおなかが減り、朝御飯として入ったのがこの写真の右のお店。いかにも下町の路地裏といった風情の一角で、二人とも一目で気に入って、優しそうなおじさんとかわいい娘さんが営んでいるお店で朝御飯を食べました。b0145146_023884.jpg食べたのは「岐山麺」と呼ばれる、この写真の辛そうなラーメンです。唐辛子だけでなく山椒がとっても利いていて、辛さと爽やかさとがマッチした、いかにも四川風の麺でした。西安市内は四川風の味付けが人気があるようで、辛い物好きの自分にとってはとても嬉しい食事の数々でした。これも二人で5元(約75円)。リーズナブルで身体の温まる一品でした。

b0145146_0232945.jpgさて、こうして市内を、日本ではあまり見かけないチャウチャウ犬なども撮影しながらのんびり散策して、一方では旅行会社を手当たり次第にアタックしてみたのですが、日本語はおろか英語も満足に通じないところも多く、また何とか話をしたところでも自分達の希望通りのオリジナルツアーを組んでくれるところはなかったので、あとで先ほどの全日空ホテルに戻ることにして、本格的な観光を始めることにしました。b0145146_0235385.jpg

最初に向かった先は城外にある「大雁塔」。かの玄奘三蔵法師が、天竺から持ち帰った経典を保存・翻訳するために建立した塔で、西暦652年築。多少の改築が加えられたとはいえ、ほぼその頃の状態を保っているそうです。中に入ることも出来て、最上階まで上って眺める景色はなかなかのものでした。



そこを観た後、全日空ホテルに戻ってツアーの申し込みをして、次に向かった先は西安城壁。全日空ホテルのすぐそばの南門から城壁の上に登りました。



b0145146_0254645.jpgb0145146_026969.jpg
















城壁は高さ12メートル、幅もおよそ12メートル。東西南北がぐるりと囲まれており、その周囲は約13km。明の時代(1370年頃)に建てられ、何回かの改修を繰り返しながら現在に至っています。この城壁の凄いところは、ただ上に登って歩けるだけではなく、何と城壁の上に貸し自転車があり、自転車で城壁の上を一周できるのです!これはぜひぜひ体験したいと思っていた今回の旅の目玉の一つでした。13kmの距離を、時に写真を撮ったり、周りの景色を眺めながらのんびり休んだりして、1時間40分掛けて一周しました。
b0145146_12306.jpg感想としては、とにかく気持ちがいーい!!観光としてはオフシーズンのせいもあったのか、写真の通り城壁の上にはほとんど人がおらず、幅の広いまっすぐな城壁を思い思いのスピードで、車も気にせず自由に滑走出来るというのは本当に最高でした!まさに「男二人旅」の名に相応しい、この旅最大のハイライトでした。b0145146_0564094.jpg城壁の上からは、西安中心街の街並みだけでなく、団地のような住宅街の街並みや問屋街、人でいっぱいの西安駅などが良く見えて、何だか景色を独り占めしているような感動がありました。この城壁の上は、地上の喧騒とは無縁のとても気持ちの安らぐ空間だったので、翌日にもまた登ってみることになりました。

さて、城壁から降りたのが14時過ぎ。昼も食べずに運動したのでさすがにおなかがペコペコです。入ったのは、やはり南門を降りてすぐの、古文化街入り口にある台湾式の中華料理店。定食(お弁当?)のセットを注文しました。焼き鳥のような串焼きが数本に、豚肉と野菜の炒め物、野菜スープとご飯。とてもバランスが取れていて、すべて美味しい!ピリ辛風味が食欲をそそりましたし、台湾式ということで今回では数少ない米のご飯というのも嬉しかったです。

b0145146_0461311.jpg食後は腹ごなしにその古文化街を散策しました。ここには骨董品や書画、文房四宝などのお店がズラリ。写真のような中国の伝統建築の建物が並んだ情緒溢れる光景で、ただ歩いているだけでもとても楽しめました。b0145146_0464169.jpg

その後、裏道のようなところを通り、1時間半近く散策をして、街の中心にある鐘楼に行きました。b0145146_0473222.jpg






この鐘楼は、城壁の中を東西に走る大通りと南北に走る大通りとが交差している真ん中にあり、地下に潜るようにしてこの建物の中に入っていきます。ここは大雁塔ほどの高さはありませんが、街のど真ん中にあるので景色は抜群です。b0145146_0482071.jpg

黄砂の影響か、若干煙っている感じもありましたが、それがまた独特の風情を作り上げていました。





そして鐘楼からホテルまでは徒歩5分ほどなので、17時頃いったんホテルに戻り、小休止をしてから18時半過ぎに夕飯に出掛けました。出掛けた先は『徳発長餃子館』。1936年創業の老舗で、108種類の餃子が売りとの事でしたが、メニューを眺めても、どう見てもそんなに種類はありません。あとで分かったことなのですが、ここはフロアによってファストフードとレストランに分かれており、我々はどうやらファストフードのフロアに入ってしまったようなのです。ただそれでも味は良かったので、まったく不満はありませんでしたが。二人で種類を変えて水餃子45個に前菜一品、ビール二本で92元(約1380円)。夕飯としてはやはりリーズナブルです。
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夕飯後は餃子店から並びで連なっている土産物屋を眺めて回り、一本裏に入るとまた凄い賑わいです。ここは化覚巷と言って、骨董や小物、食べ物の小さなお店や露店が数百メートルにわたって無数に連なっています(写真が綺麗に取れていなくてすみません)。ここでは人を掻き分け掻き分け、客引きのオジサンオバサンを交わしながら散策をしました。結局私は、まだ柔らかい出来立ての飴を伸ばすパフォーマンスをしていたおじさんの姿に惹かれ、露店で生姜味の飴を買いました。これがほのかな甘さの中にピリッと生姜が利いていて、なかなかの美味でした。

帰り掛けにホテル隣のコンビニ風雑貨店でビールを買い、ホテルに到着したのは21時過ぎ。そしてビールを飲んだら程なくして二人とも眠りに落ちました。この日の散策距離推定8km。自転車の走行距離と合わせておよそ21km。NHKハイビジョンの『世界ふれあい街歩き』にも匹敵するくらいの長い散策距離でした。あっという間に眠りに落ちるのも無理なかったかもしれません。
と、気がつけばこんな量の文章を書いてしまいました。とりあえず今日はこれくらいにして、また明日(時間があれば)、「西安男二人旅 その2」を書きたいと思います!
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by munenorin | 2009-01-17 01:09 | オフ、ふっ、ふ。