能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

<   2008年 10月 ( 26 )   > この月の画像一覧

大妻女子高校演能会

今日は国立能楽堂で、大妻女子高校の生徒さん達にお見せする演能の会でした。

これは大妻女子高校から(社)能楽協会に申し込みがあり、それを若手の能楽師中心に依頼をかけて実現したものです。このような能楽協会から依頼されての催しというのは、多いようで意外と少ないのですが、今後は世間一般の方達にこの能楽協会の存在を広く認知していただき、いろいろな意味での窓口になっていって欲しいと思っています。

さて今日の演目は、狂言は『柿山伏』で能は『羽衣』。初心者向き定番の2演目でした。

さて、その学生さん達なのですが、今日はほぼ満員で総数はおそらく500人近く。開演前などは、如何にも女子高といった感じの賑やかな話し声が聞こえてきます。
ところが開演5分前の放送が流れるや、場内は水を打ったように「シーン」。さらに開演してまず最初、解説で従兄弟の文志が出て行って、客席に向かって「こんにちは」と言うと、元気な声で「こんにちはーっ!」の大合唱。そんな調子で狂言も能も、とても素直に集中して観てくれていました。
パッと客席を見た感じでも、とても真面目そうで純粋な目をした学生さんばかり。きっと先生方や親御さんがしっかり教育されているから、生徒さん達も真っ直ぐに前を向いていることが出来るのでしょう。

日本の将来が少し楽しみになってきました。また我々能楽師もそれにしっかりと応えていかなくてはなりませんね。
[PR]
by munenorin | 2008-10-31 00:32
今日は11月1日【土】に開催の「花影会」の申し合わせ。

能は伯父・志房の『花筐 筐之伝 大返』と、従兄弟・文志の『山姥』。その他、野村萬斎さんの狂言や、お家元をはじめとした大御所による仕舞など充実の番組立てなのですが、何と言ってもメインイベントは従兄弟・友志の長男・章志の初舞台!

ちょうど3歳4ヶ月、仕舞『老松』で初舞台です001.gif

まだあまり種明かしは出来ませんが、とにかく可愛いことだけは決定的です037.gif
そして父・友志の一生懸命な姿が印象的です。父親になるということがどういうことなのか、本当に思い知らされます。

b0145146_23554271.jpgb0145146_2356367.jpg
初舞台では、特に身内などの身近な人たちはお祝いをするものなのですが、私は妹と二人で洋服屋さんを見て廻り、一足早く、写真のようなストリートカジュアル系の子供服一揃えをプレゼントしました。実用的なのでご両親はきっと喜んでくれるだろうと思ったのですが、意外にも本人がきゃっきゃと結構喜んでいました。少ししゃれっ気が出てきたのかな004.gif

というわけで上の二枚が写真です。赤ちゃんからだいぶ少年になりました。

少々つらいことがあっても、彼と15分くらい遊ぶと一気に元気が蘇ってきます。子供っていいですよね043.gif
[PR]
by munenorin | 2008-10-30 00:06 | 能楽日記

業の肯定

落語家の立川談志曰わく、『落語は人間の業(ごう)の肯定』なんだそうです。

どこか間が抜けている人間を笑い飛ばすことは、人間が誰でも持っている心の弱さを許すことに繋がるということなのでしょう。狂言にも同じような事が言えると思います。

では能楽はなんでしょう?
能楽にも業深い人物はたくさん登場しますが、落語のように笑ってあげることが出来ないくらい、シビアな状況に直面している場合がほとんどです。その多くは神仏の力に よって最後には救われるのですが、それは話の筋立てとはあまり関係なく、どちらかと言えばとってつけたような形になっていることが多いです。また『求塚』や『善知鳥』のように、全く救いがなく終わる作品も存在します。
ただそういった悲劇的な作品のいずれもが、観能後に何か清々しさや美しさといったものを余韻として心に残してくれます。

さしずめ能は『人間の業の昇華』といったところでしょうか?全てをありのままに突きつけ、ありのままに受け入れさせる、そんな力が能にはあるように思います。

今日はなんだかふとそんなことを考えていました。
[PR]
by munenorin | 2008-10-27 23:39

大分研能会

今日は大分研能会。

祖父の弟子であった大分在住のプロの能楽師、故・井本完二師が立ち上げてから50年近く続く催しですが、その後伯父と父の代を経て、本年から従兄の友志、文志、そして私で会の中心を担うことになりました。
今日はその第一陣。

本プログラム前の能楽講座から始まり、仕舞三番、素謡『正尊』、もうひとつ仕舞三番に、能『忠度』(シテ:文志)。今日は私はそのすべてに出演致しました。自分達としても、プロの能楽師の本格的な舞台としては初の主宰であり、何ヶ月も前からお互いに事務仕事等を分担しながら、この会に向けて取り組んできました。幸い会自体は滞りなく終了しましたが、反省点や改善点などもたくさん出てきました。そして何より、来年再来年に向けて、新しいお客様の層をさらに開拓していかなければならないという課題もあり、決して楽観出来るばかりの状況ではありません。しかし、今日の充実の体験を糧に、今後もより良い舞台をお客様にお見せできるよう、『三本ノ矢』で精一杯知恵を出し合って行きたいと思っています。

早速明日の午前中に、お世話になったスタッフの方達との反省会と、大分平和市民公園能楽堂の館長さんとの打ち合わせをこなし、来年に向けて動いていきます。

今日は会終了後に、この会にご協賛下さったお客様方との宴席がありましたが、その後従兄達と、近くの『豊の国健康ランド』という温泉施設で汗を流してきました。舞台後の大きなお風呂は本当に気持ち良いです。ぐっすり休んで、また明日にそなえようと思います。
[PR]
by munenorin | 2008-10-27 02:12

りゅうきゅう

昨日はいったん東京に戻って、打ち合わせや事務仕事などをしていましたが、今日からは大分です。
メインは私や従兄達が中心で行う、明日の大分研能会ですが、その前に今日は九州在住の能楽師、鷹尾さんからのご依頼で、大分県中津市にある円林寺というお寺での薪能にお邪魔してきました。今回初めての薪能開催ということでしたが、決して大きな都市ではない中津市に300人近くのお客様が集まり、盛会のうちに催しは終了致しました。

こうして全国に能を愛好して下さる方達がいらっしゃるというのは、本当に心強いことです。大分に限らず、九州は元々が大変能楽の盛んな土地でしたが、今は若干下火になってきています。また今後このような催しが増えていけば、きっと元の隆盛を取り戻すことが出来るのではないか、と思っています。今日のお客様方も、大変素直で素朴な反応をして下さっていたようで、存分に楽しんでいただいていたようでした。

さて、全く関係ないのですが、今日は大分に来てひとつするはずだった打ち合わせが急遽なくなったので、市内でゆっくり昼ご飯を頂く時間が出来ました。食べたのは「りゅうきゅう」、大分名物です。魚のお刺身を醤油ベースのたれに漬け込み、「ヅケ」のようにして、それにゴマやネギなどを散らしていただきます。通常はアジの刺身のことが多いのですが、今日は地の白身魚のりゅうきゅうで、一味違ってとても美味しかったです。ご飯に乗せて丼にしていただきました。写真を撮るのをすっかり忘れてしまいましたが‥。

大分はりゅうきゅうの他にも、とり天や城下かれいなど、他では味わえない名産品が結構あります。美味しいものを食べたい旅なら、大分はなかなかオススメの土地です。
[PR]
by munenorin | 2008-10-25 23:27

大役を終えて‥

今日は『吉村なゆえ舞の会』の当日でした。

初の異種共演、しかも藤舎名生先生や富山清琴先生といった重鎮の方達との舞台、緊張しなかったと言えば嘘になります。しかも地唄舞『葵上』の中で謡が担当するのは、幕開きと途中の掛け合いの二カ所で、謡う箇所は決して多いわけではありません。それだけに、最初から気持ちをしっかりと作って、ピークの状態で舞台に上がらないと、気が付いたら終わっていた、という事態にもなりかねません。今回はその集中力のピークの合わせ方に一番心を砕きました。

評価はお客様がお決めになることですから、自分では何とも言えませんが、少なくとも精一杯の力で舞台に立つことだけは出来たように思います。
そして舞台上から楽屋内まで、勉強させて頂くことが沢山ありました。こうした機会は自分ではなかなか作ることは出来ません。その意味でもなゆえさんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

また私事ですが、五年前に亡くなった母が一中節の名取でしたので、地唄や日本舞踊の類が大好きでした。きっとこの共演を一番喜んでくれているのではないかと思います。良い供養をしてあげることが出来ました。

また週末には大分研能会がありますが、この集中力と勢いを保ったまま、しっかり舞台を勤めたいと思います!
[PR]
by munenorin | 2008-10-23 23:56
3日間サボっていたからという訳ではありませんが、早速本日2つ目の投稿です。

先ほどの記事の通り、今日は「吉村なゆえ舞の会」の申し合わせで、先ほど終了したところです。プログラムは「菜の葉」と「葵上」の二番立て。なゆえさんの個人リサイタルですので、どちらもご本人が舞われます。そして私は謡担当として「葵上」にのみ出演致します。

そして今日は、地唄担当の富山清琴先生と楽屋をご一緒させていただきました。
衣装を着けての合わせ稽古でしたので、2つの演目の途中に空き時間などもあり、楽屋でいろいろなお話を聴かせていただくことが出来ました。特に先日お亡くなりになられた、富山先生のお父様のお話が印象深かったです。
富山先生といえば地唄の世界では大御所と呼ばれる方のお一人であり、先日はリサイタルにも伺わさせていただきました。普通ならばなかなか私のような若輩者が気軽にお話させていただくことなどは出来ないはずなのですが、今日は大変親しくお話をさせていただくことが出来ました。このような機会を作って下さった、なゆえさんにも富山先生にも感謝感謝です。

今夜はこれから、宝塚にある知り合いのお好み焼きさんでしっかり栄養補給して、明日の舞台に備えたいと思います!
[PR]
by munenorin | 2008-10-22 17:25

少し空きましたが‥

ここ3日間ほど、ブログの更新をすることが出来ませんでした。先日少しお知らせした通り、これからしばらくの間は、記事の更新が出来ない日もあるかとは思いますが、何卒ご容赦下さい。

さて、昨日は武田同門会でした。昨日の同門会は『淡路』『二人静』『安達原 黒頭』の三番立てでした。それぞれの演目の間に、15分弱の狂言一番と10分の休憩があるだけですので、実質ほとんど能三番のみの催しです。
昨日は私は地謡と後見で、その能三番すべてに出演致しました(あえて付け加えるなら、本プログラム前の装束着けワークショップにも出演致しました)。

同門会では数年前に一度だけ、急遽代役という形で能三番すべてに出演したことがあるのですが、それ以来の出来事でした。今回は特に、能と能との間の時間が大変短いので、開演前に念入りに打ち合わせて、始まったらあとはひたすら流れに乗って行動していくだけです。おかげさまで大きなミスもなく、なんとかすべてを無事に乗り切ることが出来ました。

昨日はその舞台の時も含めて、いろいろな方のちょっとした親切やお気遣いに救われ、心温まる1日でした。ですから舞台終了後もあまり疲れがなく、心地良い気分で帰宅することが出来ました。本当に有り難いことだと思います。

今は大阪で、これから『吉村なゆえ舞の会』のリハーサルに行ってきます。本番は明日です。自分としては初めてとなる異種共演ですが、精一杯力を出し尽くして行きたいと思います!
[PR]
by munenorin | 2008-10-22 12:54

御礼

今日は初陽会当日でした。

本日ご来場いただきました皆様、本当に有難うございました。少し時間がおしてしまいまして申し訳ありませんでしたが、おかげさまで天気にも恵まれ、何とか無事に会を終えることが出来ました。

さて『巴』ですが、本日ご出演いただいたお素人の皆様方の一生懸命な姿にも刺激を受けたせいか、自分としては想像以上に集中して舞台に臨むことができたように思います。これで御覧頂いたお客様に楽しんでいただけていたら良いのですが・・・

自分はまだまだ発展途上の舞台人です。そして一生、発展途上の舞台人でいたいとも思います。

今後ともどうぞ応援宜しくお願い致します。もしこのブログやミクシィ上に、ご感想・ご意見等いただけましたら嬉しいです。
[PR]
by munenorin | 2008-10-19 01:59 | 能楽日記

今日は手短に

明日は初陽会、『巴』です。しっかり身体を休めて、集中力を高めて本番に臨みたいと思います。

会場は観世能楽堂、時間は大体15:30過ぎくらいからです(会自体の開演は12時)。当日会場で解説等配布していますので、ぜひお気軽にお越し下さい。

また明日、舞台でお会いしましょう。皆様のご来場、心よりお待ちしています!
[PR]
by munenorin | 2008-10-17 21:47