能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

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日帰り新潟

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今日は日帰りで新潟の公演でした。

昨晩の地獄のような天気もあったので無事に現地に入れるか不安でしたが、今朝は天気も回復したので、予定通りの時間に到着することが出来ました。現地新潟の天気もなんとか曇りを保っています。

会場は新潟駅から車で10分ほどの『りゅーとぴあ』という、県の文化施設。斬新なデザインの綺麗な建物で、フロア毎に劇場やコンサートホールがあり、その中の一つに大変立派な能楽堂があります。
今日の能は『半蔀』。源氏物語『夕顔』の巻に取材した、美しい小品です。今年は源氏物語が完成して1000年目に当たると言われ、その千年紀として源氏物語をテーマにした様々な催しが行われています。能には源氏物語に取材した数多くの名作が遺されているので、この催しもその一環なのだと思います。

さて、今日は能『半蔀』の他に解説や仕舞、謡の稽古体験などがあったのですが、実は楽屋内の人数がギリギリの数しかいませんでした。
『半蔀』のシテは山階彌右衛門師でしたが、他の皆さんは普段から舞台に立つことが少ない方達(つまりレッスンプロのような方)がほとんどだったので、従兄弟の文志と私とで実質的に多くのことを切り盛りをしなければならない状況でした。
これは普段から一番身近で仕事をしている文志と、しっかり連携プレーを取らなければならないところです。シテを勤められた山階師も含めて、3人で綿密に打ち合わせます。
結果は、もちろん反省すべき点はいくつかありましたが、概ね無事に舞台を終えることが出来ました。帰り道のタクシーの車内でその反省点を文志と話し合い、今新幹線で帰路についています。

こうした、少数でしっかり連携して仕事をしなければならない場合、その相手はもちろん誰でも大丈夫というわけではありません。普段からの舞台や稽古などで培った、お互いの信頼がやはり物をいいます。まして我々若手にはまだまだ足りない部分も数多くあるので、何かの時にはお互いにフォローし合うことも大切になってきます。そういった意味で、今回の相手が文志であったことは本当に助かりました。また逆に言えば、相手にそう感じてもらえるような存在に自分もならなくてはなりませんね。

舞台終了後に新潟は計ったように雨が降り出しました。さて、東京はどうでしょうね‥。
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by munenorin | 2008-08-30 17:59

私の稽古場

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昨日は午後から稽古会でした。
大曲が何番もあり、その後の打ち上げ、二次会などで芸談を続けていたら帰宅がすっかり遅くなってしまって、ブログ更新の気力もなく休んでしまいました。

今日は朝から松濤の観世能楽堂で申し合わせ。夕方からお弟子さんの稽古です。

写真は私が一年半前から使わせていただいている、喜多流の谷大作さんがお持ちの稽古舞台です。マンションの一階にあります。
地下鉄『新宿御苑前』駅から徒歩6分ほどの便利な場所にありますが、大通りから一本裏に入るため、比較的外は静かです。

こぢんまりしてはいますが、本舞台はほぼ実寸と同じ程度あり、写真の通り新しくて大変清潔感のあるお稽古場です。
現在は概ね月3回お稽古をしています。平日は夕方から夜にかけて、土日祝日の場合は昼からお稽古している時もあります。すべてお弟子さんとのご相談で日程を決めています。
見学いただくのはご自由ですので、もしご興味のある方はぜひ一度気軽に遊びにいらして下さい。

そしてここは前回から謡サロンの会場としても使っています。いずれこのブログをご覧の皆様にもお出でいただく機会があるかもしれませんね。

というわけで今日はお稽古場の紹介をさせていただきました(^-^)v
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by munenorin | 2008-08-29 19:28

稽古、稽古

今日は午後15時半から稽古でした。

自宅の最寄り駅『新宿御苑前』から、稽古場のある『中野坂上』駅までは、地下鉄丸の内線で4駅あるのですが、なぜか今日はアップをかねてその道程を歩いてしまいました。
やや涼しくなってきたとはいえ、8月の真昼間。稽古場に着いた時には汗だくになっていました。ちょっと無謀だったかもしれません。

今日の稽古は舞囃子・独吟・仕舞の三つに、父の稽古のアシライと盛り沢山な内容。明日がまた稽古会なので、それに向けての稽古でもありました。

本音を言えば、毎日舞台と稽古と社会勉強(観劇など)だけに人生を費やしたいのですが、現実は事務仕事や雑務などに追われる日もあり、なかなかそれが許されるわけではありません。

ですからとにかく出来る時に30分でも1時間でもしっかり集中して稽古することが大切です。それもできれば毎日。
今日はかなり時間を有効に使えた方でした。日々こうありたいものです026.gif
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by munenorin | 2008-08-27 23:09 | 能楽日記

歌劇観劇

昨日の夜に帰京しました。

昨晩は羽田空港からの帰りのバスでなぜか車酔いの様な症状になってしまい、自宅に戻ってからすぐに休んでしまったため、記事の更新が出来ませんでした。何だか小さな子供みたいで情けないですが・・・008.gif

さて、大阪謡サロンは一昨日で終了でしたので、いつもは1泊2日で帰ってくるのですが、今回は帰京を一日延ばしました。それは宝塚大劇場で行われている雪組公演を観劇するためです。およそ1年ぶりの大劇場公演観劇でした。
タイトルは「ソロモンの指輪」「マリポーサの花」のショー・ミュージカルの2本立てです。今回は大変珍しい、ショー→ミュージカルの上演順でした。
ショーは上演時間30分という小品。しかし短い時間に大勢の出演者が色々な格好で代わる代わる登場してくるため、いつものショー作品よりはむしろ華やかにみえました。ダンスの振付が一風変わっているのも印象的です。
対してミュージカルの方はフィナーレを含めて2時間の上演時間。通常だと1時間半程度なのでかなり長いのですが、不思議とその長さを感じさせません。話の筋を掴みにくい部分もありますが、台詞劇としてのやり取りが充実していて、それが物語に厚みを加えていました。

この雪組には、私が大学生くらいの頃から仲良くしている生徒さんたちがいるのですが、今回その生徒さんのうちの1人が退団されることもあったので、こうして宝塚の地で観劇することにしたのでした。
私と顔が似ていることもあったので、親しく「妹」と呼ばせていただいていましたが、やはり退団の舞台には胸が自然と熱くなりました。今回時間を作って観に行くことができて本当に良かったです。

良い舞台を観た後は無性に稽古したくなります。舞台人にとって、外からの刺激はやはりとても大事ですね。
今日はこれから思う存分、稽古をしてきます!
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by munenorin | 2008-08-27 12:06 | たまの観劇日記

大阪謡サロン二日目

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今日は大阪謡サロン二日目、写真の通りお子さん方も参加できる、午前11時からのサロンです。
当初の予定ではかなり参加者が少ないとの情報でしたが、結局大人5名、子供5名となかなかの大所帯。お子さん方がいらっしゃるので、賑やかさは昨日の3倍です(笑)。

お子さん方はこのサロンに来るとなぜか皆元気になってしまうので、解説をしている時はやんちゃに走り回っていますが、謡を謡い出した途端、水を打ったように静かになります。いつも本当に不思議です。
特に今回は最後の仕舞が好評だったようです。やはり『殺生石』の仕舞は派手でわかりやすいからかもしれません。

終了後は参加者ほぼ全員で、近所の定食屋さんにランチへ。
お子さん方も回を重ねてこのサロンに慣れてこられたのか、とても楽しそうです。僕もだいぶみんなと仲良くなりました(笑)。いつもこの午前の部では元気をもらっています。

さて、男の子ひとりで映っている写真なんですが、彼はトンボ柄の可愛い作務衣を着ています。
トンボ柄は『かち虫』と言って、能の装束では修羅物で武将が着る柄として重んじられています。それもあって思わずパチリと撮ってしまいました。
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by munenorin | 2008-08-25 17:17

大阪謡サロン一日目

今日は朝から大阪に移動して、謡サロン午後の部の開催でした。
明日は大阪謡サロン二日目、昨日の東京謡サロンと合わせて、三日間連続の謡サロン開催です。

今日のテーマ曲は『殺生石』。何だか物騒なタイトルですが、栃木県の那須に実際にある硫黄のガスを出す石に因んだ、妖怪伝説のお話です。
一曲を通して全体的に力強く物語が進んでいくのですが、話が割とわかりやすいせいもあったのか、今まででお客様の反応が一番良かったように思います。もっとも、回を重ねる度に皆さんの反応は確実に鋭くなっていらっしゃいますが。特に最後の仕舞の部分を楽しくご覧いただけたようです。

終了後は参加者の方何人かと夕飯をご一緒しました。お店は私の大好物の串揚げやさん!東京の串揚げやさんより洗練されていて、あっさりした風味がとても印象に残りました。食べることに夢中になったあまり、写真を撮るのをすっかり忘れてしまいましたが(苦笑)。

明日はお子さん参加オーケーの午前の部の謡サロン。早めに休んで明日に備えたいと思います。
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by munenorin | 2008-08-24 22:12

東京謡サロン

昨日は第2回東京謡サロンでした。
今回からは会場を新宿御苑近くの稽古舞台に移しての開催です。

昨日のテーマ曲は『融』。必ずしも初心者向き、というわけではありませんが、能の名作の一つです。
今回から定期サロンの場合は、テーマにした曲(今回の場合は『融』)からお稽古箇所も選ぶように致しました。都心の真ん中にある会場ですが、一本裏手にあるだけで喧噪とはかけ離れた世界。総計5箇所をじっくりとお聞きいただけたのではないかと思います。

途中、お客様方からの活発なご質問等もあり、瞬く間に過ぎていく時間。
と、ここで思わぬ失敗をしでかしてしまいます!最後にいつもお見せしている仕舞を舞うのを忘れてしまったのです!
プログラム終了後のお茶の時間でそのことに気付き、最後になんとか舞をお見せすることが出来ました(笑)。

今回一つだけ大変残念だったのは、ご参加いただいた方々が大変少なかったことです。まだ夏休み中でもありましたし仕方ない部分はあったのですが、東京でも早く大勢の皆様に御認知いただきたい、と今回あらためて思いました。

一度ご参加いただいたらきっとその楽しさを実感していただける謡サロン。次の開催は9月14日の日曜日です。
ブログ上・mixiのメッセージでもお申し込みを承ります。ぜひ一度足をお運び下さい。お待ちしています!
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by munenorin | 2008-08-24 09:48

ターャジス

昨日はアフリカ座公演「ターャジス~そうだ、コントをやろう」の初日を観てきました。会場は新中野にあるライブハウス「BENTEN」。去年まで私が出演していた劇団、unit-birthのメンバー2人が中心となって立ち上げた新劇団です。ただこの「アフリカ座」というのは、その昔つかこうへい劇団に所属していたメンバーが立ち上げその後解散していた団体のようで、今回は10年ぶりの復活ということにもなるようです。もっともその頃とメンバーは大きく変わっていたようでしたが・・・。
演出はIKKANさんというお笑い業界では名のある作家さんで、その多くのレパートリーの中から、今回は選りすぐりの7本を舞台に上げていました。

感想としては・・・期待を裏切ることなく、やはり面白かったです。頬の筋肉がつってしまうくらい、存分に笑わせてもらいました。
脚本は確かにコントですし、前説や場つなぎトークが入ったりするところなど、全体としては確かにお笑いの軽いノリが存在しているのですが、出演している人たちがほぼ10~20年選手というベテランの舞台役者さん達なので、「コント」というより「コメディー」的に仕上がっていたように思います。
自分はお笑いライブにはあまり行ったことがないのですが、おそらくお笑い芸人の人たちがそうは醸し出せない、濃密な空間を作り出せていたのではないかと思います。その濃密さがコメディーに感じさせた理由なのだと思います(『くどさ』ではなく)。それを良いと思うか、あるいはもっと軽い方が良いと思うかは好みの問題もあると思いますが、せっかくお金を払って入場している以上、やはりしっかりしたものを観たいというのが自分の中にはあります。その意味で今回は本当に満足でした。

そしてもう一つの感想。

やっぱり観ているとまた出演したくなります004.gif本業で新しいことを次々と始めている現状ではなかなか難しいとは思いますが、またいつか、こういった舞台に立てることが出来たら良いな、と思っています026.gif
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by munenorin | 2008-08-23 10:44 | たまの観劇日記

闇に咲く花

今日はこの間ブログでもお知らせした、大学時代の後輩の舞台を観に行ってきました。場所は新宿・紀伊国屋サザンシアター、作・井上ひさし、こまつ座の舞台です。

途中15分の休憩を挟むとはいえ、上演時間は総計3時間の長丁場。まず幕が開くなり、経験豊富で達者な役者さんたち同士の丁々発止のやり取りで物語が展開していきます。この時点で私はとても不安になりました。

まずその後輩の演技力レベルについて、私の中では大学時代のいかにも不器用だった彼の印象で止まってしまっているので、大変失礼ながら、こんなベテランの役者さん達の中でしっかりプロの役者として舞台上に立っているように見えるのだろうか、ということです。
いくら新国立劇場の研修生としてしっかり学んできたとはいえ、今年の3月に卒業したばかりということは、いわば新卒のサラリーマンのようなものです。はじめからまともに仕事などまず出来るはずがありません。実地で経験を積んでいくことで、初めて先輩達と同じ土俵に立つことができるようになるわけです。それをいきなりこまつ座とは、ある意味ラッキーとはいえ、少し大きくいきすぎたのではないか、と。

そして場面が進んでいくにつれ、私は更なる不安に駆られました。彼が登場してこないのです。結局まったく登場しないまま一幕は終わってしまいました。これはどういうことでしょう?もしかしたら私の気付かないうちに、大道具や小道具に同化してひっそりと登場していたのか?或いは怪我や病気など、何かアクシデントがあったのではないだろうか?思いは千々に乱れます。

そして二幕が始まりますが、まったく彼が現れる気配がありません。チラシ番組を確認すると出演する人数は全部で13人。舞台上の人物と既に登場した人物を頭で合わせて数えてみると12人!彼だけが登場していないことになります。
そしてなおも物語は進み(この頃になると私も舞台に引き込まれ、半分くらい彼の存在を忘れていましたが026.gif)、いよいよ物語はクライマックスらしい場面に近づこうとしています。

まだ現れない・・・

遂にクライマックスと思しき場面が終了!結局現れなかった・・・。

と思ったらここで場面転換。どうやらエピローグらしきものが始まりました。ここでようやく登場しました!残り時間およそ10分というところ。ギリギリセーフでした043.gif

登場時間はおよそ6,7分といったところではありましたが、テンポの早い台詞がふんだんにあり、またそれとなくお客さんの笑いも誘わなければいけないような、ある意味美味しいとも言えますが、なかなかの難役です。

まず第一に、私は彼が台詞を噛んだりトチったりしないように、ということを心に祈って観ていました。なにしろ3時間の芝居の中で、台詞を噛んだ役者さんがまだ一人もいないのです。これは何かアクシデントがあったら目立ってしまう、と思って観ていました。
しかし案ずるより産むは易し。無事に登場場面を終え、意気揚々と舞台から退場していきました。

そしてここまで散々失礼な物言いをしてきましたが、彼の演技について。本当に変わってないんだな、というのが第一印象でした。それもとても良い意味で。
彼自身が本来持っている、少し不器用ですっとぼけた愛すべきキャラクター性というのが、とてもうまく舞台上に生かされていたのです。これにはもちろん演出の力も大きいと思います。しかし何より、彼自身の地道な努力があったからこそ、舞台で花開くことが出来たのでしょう。

もちろん勉強の甲斐あって、基本的な部分でも技術的に大きく成長していました。とはいっても、当然ながら他の役者さんとはまだまだ力量の差があります。しかし舞台上で魅力的に見えたこと、好感の持てる役者になっていたことがとても嬉しかったです。これが舞台人にとって一番大切なことですから。

終演後、楽屋に面会に行った時も、少しも昔と変わらぬ好青年な印象。何だか少しホッとしました。

今日の芝居のタイトルは「闇に咲く花」。今後も経験と精進を重ねて、舞台上のどこにいても輝いて見える、「花」のある役者になっていってほしいものです056.gif
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by munenorin | 2008-08-22 01:27 | たまの観劇日記

ごしごし

この一週間は土曜日の謡サロンまで、完全なる充電期間です。そこからまた一気に仕事モードになりますが・・・

今日も事務仕事や稽古をしたりはしていましたが、オリンピックを見たり、一人シエスタしてみたり(つまり昼寝です037.gif)、ほとんどは自宅でのんびりと過ごしていました043.gif

今は少し溜め込んでいた足袋の洗濯をしていたところです。安価な普段稽古で使うような足袋は洗濯機で洗ってしまうのですが、基本的に足袋は手洗いで片足ずつ洗うのが原則です。

洗剤を溶かしたぬるま湯に浸けてから、「ズックリン」というスニーカーを洗う洗剤を、足裏の汚れた部分につけてゴシゴシゴシ。これを10足だと結局20枚の足袋をゴシゴシと洗ったことになります。結構程よく体力を使います004.gif

これを一晩干した後、明日にはやはり1枚ずつ洗濯糊を吹き付けて、アイロンにかけて仕上げです。

仕上げるまでには意外と手間が掛かりますが、自分で洗濯した足袋が綺麗に仕上がったのを見ると、何だかとても気持ちの良いものです003.gif
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by munenorin | 2008-08-21 02:45 | 四方山つぶやき