能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

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老舗とんかつ店

今年は3月くらいからずっとどたばたしていたのですが、ここに来て久しぶりに少し落ち着ける時間が出来ました。というわけで今後は少しオフ系の記事が増えると思います006.gif

今日の夕飯は、父と二人でとんかつ屋さんに行ってきました。

b0145146_2158544.jpgお店の名前は「王ろじ」。大正10年創業の老舗中の老舗です。新宿伊勢丹のすぐ傍にあるのですが、昔、私の母方の祖父がこのお店の隣に時計宝飾の店を出していたので、我が家とも50年以上のお付き合いがあります。

今日いただいたのは「とんかつセット」。1650円でとんかつとご飯、豚汁に漬物がつきます。
こう伝えると何の変哲もない感じがしますが、このお店のとんかつは本当に独特の作り方で、他では絶対に食べることが出来ない味だと思います。写真のようにとんかつ全体が丸太型をしています。そして、さくさくの衣の中には脂分の少ないヒレカツが綺麗に揚がっており、この店オリジナルのソースをつけていただくとさっぱりでありながらもジューシーで、まさに絶品の味わいです。その他、豚汁も王ろじ風、漬物も王ろじ漬と、すべてこのお店でのみ味わえるオリジナルメニューです。
またこのお店は比較的若いお客さんも多いのですが、その世代に人気なのが「とん丼」。いわばカツカレーなのですが、とんかつも独特ならカレーもお店オリジナルのなんだかとても懐かしい味で、どこか大正浪漫・昭和初期の匂いを感じさせる味です004.gif

他店とあらゆるメニューがまったく違う、オリジナルの味。だからこそそれが愛され、85年以上もお店が続いているのでしょう。

有名なお店なのでご存知の方も多いと思いますが、皆さん良かったら一度足を運ばれては如何ですか?
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by munenorin | 2008-06-30 22:20 | オフ、ふっ、ふ。

青木一郎能の会

今日は青木一郎能の会でした。

演目は「屋島 大事 奈須与市語」(シテ:青木一郎)と「羽衣」(シテ:青木健一)。

「屋島」はこの”大事”と”奈須与市語”の小書(特殊演出のこと:”奈須与市語”は間狂言の小書)がつくことで、源平合戦での源義経の武勇譚が最も写実的に表されます。もちろん観ていて一番面白い演出です。ただ動きの多い分、舞台上での間隔の取り方が難しく、またお囃子が特殊な手組を演奏するので、その兼ね合いも大変な作業になります。今日はそういった要素が比較的クリアになり、シテのなさりたいやり方で一曲を創り上げることが出来ていたように思います。

「羽衣」のシテはご子息の健一君。少し能を観劇されたことがある方なら、「羽衣」は最も目にする機会の多い曲の一つだと思います。しかし「羽衣」を”和合之舞”や”彩色之伝”などの小書のない、いわゆる普通の「羽衣」でご覧になられたことがある方はそんなにいらっしゃらないのではないかと思います。「羽衣」が小書なしで舞台に掛かるのは実は珍しいことなのです。
ですから普通の「羽衣」は、今日の場合のように「羽衣」のシテを若手が初めて勤める場合に出ることが殆どです。そして「羽衣」は小書があると、まず大体において詞章のどこかが省略されるのですが、小書なしだとすべての部分が上演されます。そしてこれが一曲すべてを勤めるとなると、意外と体力が要るのです。私も5年前にさせていただきましたが、かなり消耗した覚えがあります。
さて今日のシテの青木健一君ですが、年齢は私の4歳下。もちろん技術的にはまだまだ粗い部分もあるのですが、真面目で本番に強く、独特の”華”があります。
この”華”が我々にとって最も大事なのです。どんなに荒削りであっても、これがなければお客様を惹きつける事は出来ませんし、プロの舞台人として活動している意味がありません。彼にはこれからもメキメキと腕を上げていって欲しいと思います。

そして私自身は、彼のような勢いのある年下に絶対に追い越されないようにと、負けじと精進を重ねていかなければならないのです!!
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by munenorin | 2008-06-30 00:25 | 能楽日記

こんばんは

またうっかりうたた寝をしてしまいました。遅まきながらブログ更新です。

今日は少し時間が出来たので久しぶりに映画館へ。土曜日なのでかなり混んでいるかなと思いましたが、何とか座席を確保することが出来ました。観たのは『奇跡のシンフォニー』。割と前評判が良かったのでこれに決めました。

ストーリーはよくよく考えれば出来過ぎなんですが、観ている間はそれを全く感じさせない映画らしい力があって、思わずホロリとさせられます。主演の男の子をはじめ、子役の出演者達の演技の素晴らしいこと!独特の表情に惹きつけられました。
この間亡くなった水野晴郎さんじゃないですが、映画って本当に良いものだなと思います。2000円にも満たない値段でこれだけの感動を得ることが出来るのですから‥。もちろんその感動は演劇のライブ感とはまた別種のものですが、やはり映画も映画館で観なければと思います。日常とちょっと切り離すには映画館の空間は最適です。

今までは割と舞台ばかりにこだわっていましたが、今年に入ってから少しずつ映画も観ています。これからは時間を作ってちょくちょく‥と思っています(^-^)v
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by munenorin | 2008-06-29 01:17 | オフ、ふっ、ふ。
東京謡サロン、いよいよ開講開始です058.gif

大阪で今年の1月を皮切りに始めました。最初は8人程度だった参加者が、現在はお蔭様で20人近くにまで増えました。来られたお客様がお友達を一人、また一人と連れてきてくださったおかげです。まだまだ至りませんが、皆さんに能の楽しさ・面白さを伝えたくて、試行錯誤を続けながらも何とか頑張っています。
チラシにはあまり詳しい内容が出ていませんが、私の謡を聞いていただくことを中心に、当時の時代背景を踏まえた詳細な解説、動きや舞などの実演を交えた物語の解明、そして最後には皆さんで一緒に声を出して実際に謡を謡っていただきます。

謡を謡う・・・なんて聞くと気が臆してしまうでしょう?ところが実際に参加して体験された方は皆、最終的にはこれが楽しみで参加されるのです004.gif不思議でしょう?
私自身も謡は”実際に謡うことでその面白さがさらに体感できる”と思っています。

7月5日(土)、17時より中野坂上の『武田修能館』で開催いたします。参加費は3000円です。詳細は謡サロンホームページまでどうぞ!アドレスはこちら⇒http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=utaisalon
もちろんこの記事にコメント形式で質問していただいても結構です。どうぞ宜しくお願いします!
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by munenorin | 2008-06-28 00:39 | 謡サロン

富山清琴地歌筝曲演奏会

先ほどの記事の通り、今日は地歌の演奏会に行って参りました。

正確には地歌と筝曲を弾き語り(琴と地歌・三味線と地歌)の形で行う演奏です。私は伝統芸能の世界には居ますが、実は長唄や常磐津に清元、地歌や義太夫など、何がなんだか良くはわかっていないのです。だから詳しい説明はここでは出来ません。
またプログラムにはその日の演奏曲や解説と併せ、実際に謡われる詞章も掲載してありました。しかしそれを読んでも、必ずしもその曲のストーリーや意味がはっきりと分かるわけではないのです。その点は能の鑑賞に通じるものがあるかもしれません。また舞や踊りのような動きが一切なく、ただ正座による弾き語りで進行する点は、素謡(あるいは謡サロン?)にも通じます。
私が思ったのは、技術的な部分での能との違いです。同じようにストーリー性のはっきりしない能は(すべてがそうではありませんが)、気迫や魂で曲を表現しようとします。地歌はおそらく、メロディーの上げ下げの仕方、声の使い方で曲を表現し切るのではないでしょうか?それくらい節付が複雑で高低差があり、意味が分からなくとも聴くだけで心地がよいのです。またその複雑なメロディーを一歩引いた柔らかい声、そして裏声を多用しながら一番気持ちの良いポイントに持ってくる技術には本当に驚かされます。この清琴先生は50歳代後半で、ほぼお一人で全曲をこなしていたのですが、息子さんが全4曲中2曲に出演されていました。正直なところ、声の使い方という点でお二人にはやはりまだまだかなりの差を感じるのですが、お見受けしたところ息子さんはまだ20歳台後半くらい、その年齢にしてはかなり声も落ち着いておられ、将来有望な感じが致しました。他ジャンルの伝統芸能の若手が頑張っている姿を見ると、良い刺激になります004.gif

実は今回この清琴先生の会にお邪魔したわけは、本年10月23日(木)に同じ舞台に立たせていただくからなのです。それは大阪の国立文楽劇場での地唄舞の会で、吉村流の『葵上』があり、そこに他ジャンルの私が賛助出演させていただくことになったのです。今日はその地唄舞の会を主催される吉村流の先生とご一緒して拝見に伺いました。今日拝見して、自分よりあらゆる意味で数段上の先生とご一緒させていただくのだといことがはっきりとわかりました。大変光栄なことでありますし、胸をお借りするつもりで頑張りたいとは思いますが、これは常日頃からしっかりと舞台に取り組んでいないと大恥をかくことにもなりかねないと思った次第です。
楽屋でお会いした先生は肌つやや血色も大変に良く爽やかで、実年齢よりかなりお若くお見受けしました。自分も健康管理を第一に、しっかりと目標に向かって頑張って行きたいと思います。
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by munenorin | 2008-06-27 01:44 | たまの観劇日記

昨日は・・・

昨晩初めてブログを更新できませんでした007.gif
更新しようとパソコンの前に座った途端、突っ伏して寝てしまったのです・・・不覚!

昨日の晩は幼稚園からの友人E君と、久しぶりに神田美土代町の『素』で落ち合い、サシ飲みしました。久しく飲み慣れていない日本酒をガバガバ飲んだせいか、あっという間に出来上がってしまったようです。

このお店は隠れた名店です。何しろつまみが美味しい!昨日はのどぐろの干物とめざしが絶品でした。これに写真の島根の日本酒、「豊の秋」で一丁上がりという感じです004.gif
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お互いの近況や色々な四方山話を心行くまで話すのに、自分にとってやはり「酒」は必需品のようです。飲み過ぎないようにとは思いますが・・・

今日は午前中が「青木一郎能の会」の申し合わせ、これから中野坂上の伯父の家で事務仕事、夜は勉強のために富山清琴先生の地唄の会を鑑賞します。

鑑賞日誌はまた後ほど・・・
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by munenorin | 2008-06-26 13:15 | オフ、ふっ、ふ。

稽古能

今日は午後から稽古能でした。

稽古能とはなんでしょう?・・・普段我々は舞台に立つことを主にして活動していますが、それでも主役であるシテを勤められる機会はせいぜい年間に3~4番程度、地謡や後見を除いたツレや仕舞等のそれ以外の役でも10数番といったところです。それならばと自分たちの研鑽のために、本番の舞台とは関係なく、志を同じくする仲間たちが集まり、ともに稽古に励むスタイルのことを稽古能といいます。自分たちの勉強のためですから、今の年齢では到底本番の舞台で勤めないような曲にチャレンジすることもあります。そのような事情から、もちろんお客様には一切非公開で行われます。

今日私が勤めさせていただいたのは、『正尊』という曲の中の「起請文」という謡の部分です。お囃子方の皆さんと合わせて、独吟形式(正座して一人で謡うこと)で勤めさせていただきました。
『正尊』の「起請文」は、『安宅』の「勧進帳」、『木曽』の「願書」と並び、『三読物』と称される大変重い(難しい)謡の一節です。今日はその「勧進帳」と「願書」も共に同じ形式で行われました。

やはり、難しいものだ、というのが実感です。

今日三つの読み物を並列してみて改めて実感したことなのですが、それぞれの読み物には性格の違いがはっきりとあり、まずそれを表現できなければなりません。それに加え、長い謡なのでペース配分をしっかり出来ていないと、息切れしてただわんわんと叫ぶばかりのようになってしまうのです。
今日の自分がどれくらいのものになっていたか、これからじっくりテープを聴いて確認してみますが、まだまだ読み物の重さに呑み込まれていたのではないかと思います。
おそらく『正尊』を勤めることになるのはどんなに早くても10年は先、そう考えれば体験させていただくことが出来ただけでも有り難いことだと思っています。

能楽師としての修行の過程で、私自身が少しずつではありながらも力を蓄えることが出来たのは、実はこの”稽古能”のおかげではないかと思っています。多いときでは年間30数日、この稽古能に費やしていました。本番の舞台とそれに向けての稽古はもちろん大事ですが、普段からそれ以外の様々な曲に実際に稽古して接することで、曲への考察が深まり、また能楽師としての視野が広がります。
これからも稽古能では色々な曲にチャレンジして、時には自分の力の足りなさを思い知りながら、能楽師として徐々にステップアップしていきたいと思います。
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by munenorin | 2008-06-24 23:24 | 能楽日記

帰宅後・・・

今日は大阪より帰宅後、足袋のアイロン掛け。

6月は何かと忙しくてついつい溜めてしまっていたので、1時間40分ほどかけて一気に仕上げる。

父の足袋と併せて14足、つまり28枚!

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足袋はシャツなどと同じく、アイロン掛けをしないとしわくちゃなままなんです。だからアイロン用のキーピングなどの洗濯糊を使って丹念に仕上げます。

しかし暑かった・・・アイロン掛けをやると汗がダラダラ出てきます。

終わってから飲んだビールの美味しかったことといったら・・・!
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by munenorin | 2008-06-24 00:50 | 四方山つぶやき
今日の夜東京に戻ってきました。

さて今日の大阪謡サロンは11時の部、謡サロンの一つの特徴である、小さなお子様も参加OKの部です。昨日の大人の会より人数は少なかったのですが、終始アットホームでほのぼのとした会になりました001.gif

参加のお子さんは3人上の子は2歳ちょっと手前、下の子は生後6ヶ月です。
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もう一人のお子さんも含め、みんな本当に可愛い!そしてこれは謡サロンに来るお子さんに共通のことなのですが、みんな謡が始まると、おとなしくいい子で聞いてくれるのです。中には謡いだす子もいるくらい。そしてまた一段と元気になって帰っていきます。私自身、お子さんたちからいっぱいパワーをもらっています004.gif

お子さんにせよ、大人の方にせよ、感性の研ぎ澄まされている方たちは反応が正直です。だからこそ本当にやりがいがあります。

東京の謡サロンもお子さんの参加大歓迎ですので、ぜひふるってご参加ください。そしてもちろん、大人の皆さんにも必ず楽しんでいただけると思いますので、ぜひ気軽にいらしてくださいね!
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by munenorin | 2008-06-24 00:47 | 謡サロン

今日の謡サロン

今日の謡サロン、お客様は総勢11名。大阪で月一度始めた謡サロンも今月で半年が経ちましたが、回を追う毎にお客様の数が増えて参りました。最初は1人でいらしていたお客様がお友達を連れてきて下さるようになりました。本当に有り難いことです。ブログ上ですが厚く御礼申し上げます。

先ほどの記事の通り、今日のテーマ曲は『天鼓』でした。

中国を題材にした、ある種の深刻さは有りながらもロマンティックな話、自分の好きな能のひとつです。
今日は謡いたいところが沢山あって困ったのですが、何とか4ヶ所にしぼって皆さんに聴いていただきました。最後にはキリ(クライマックス)の仕舞を舞いました。
お謡の稽古は引き続き『橋弁慶』です。

これも回を重ねる毎に思うのですが、常連になってくださっているお客様方の集中力が目に見えて増しています。きっといろいろな事を感じたり、考えたりして下さっているのだと思います。謡サロンでは、出来るだけそうした皆さんお一人ずつの感性を大切にしていきたいと思っています。これからもご遠慮なくいろいろな質問や感想をお寄せください。このブログ上でも結構です。

また皆さんの感性が研ぎ澄まされてきている分、私自身決してマンネリにならないように、様々な精進を怠らないようにしていかなくてはと痛感しています。

また明日のお子さん同伴の会も楽しみです(^-^)v
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by munenorin | 2008-06-22 22:33 | 謡サロン