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能楽師・武田宗典の舞台活動・観劇活動を中心にした日記的四方山話


by munenorin

清経のチカラ?

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一昨日から3日間、九州に来ていました。

一昨日が大分の平和市民公演能楽堂で、大分研能会能楽講座。11月3日に行われる研能会直前の講座で、私がシテを勤める「安達原」についてお話と実演をしました。昼夜二回行いましたが、想像よりも多くのお客様にご来場いただくことが出来ました。
そして驚いたのが、お客様の中に今までほとんど能をご覧になったことがないという方が数多くいらした点。この講座をきっかけに、研能会に足を運んでいただけたらと願って止みません。


研能会の講座の翌日は特急ソニックに乗って行橋に移動し、行橋で稽古と謡サロンでした。

今回特集した曲は「清経」。来月初陽会で私がシテを勤める曲ですが、今回この曲を選択した理由はそれだけではありません。
シテの平清経は源平の合戦の後半に入水自殺した武将で、その入水した場所が行橋からほど近い宇佐市柳ヶ浦というところなのです。ですから、いわばご当地ソングとしてこの曲を取り上げたいという思いがありました。

そんな話をしていたところ、行橋のお弟子さんから「清経のお墓が近くにあります」との情報をいただき、早速ご案内をお願いしました。それが写真の「平清経塚」です。
室町時代辺りに今の形をなしたということで、小さな茂みの中にひっそりと佇んでいますが、梵字のような物も彫られており、清経の面影が偲ばれる遺跡でした。

そんなお参りの甲斐もあったのか、今回のサロンも何とか無事に終わりました。また今日は朝から大雨が降っていましたが、清経が成仏した、という部分の謡を参加の皆さんで大合唱していたら、瞬く間に太陽が差して、一気に好天となりました。

きっと清経さんの思いが雨を上げてくれたのでしょうね。

今から帰京します。
by munenorin | 2009-09-12 19:08